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フィンランド留学を終えて

高校三年生の夏に休学し、自力で掴み取った7ヶ月間のフィンランド留学が終わりました。

僕はたくさんの経験をし、たくさんの素晴らしい人たちに出会いました。時には辛いことがあったり、悩み込んでしまったりもしました。しかし、それも僕自身が成長するために必要な経験だったと思います。本当に楽しくて充実した7ヶ月間でした。

今回はその7ヶ月間を振り返って、経験したことや自分自身の変化について書こうと思います。


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教育に対する考え方の変化

■ 日本と海外の教育

僕は日本での高校生活の中で、先生を観察しながら授業を受けるということをしていました。僕が好きな教え方をする先生の授業では、

「どんなことを意識しながら授業をしているのだろう?」

「なるほど、ああいう声がけをするから生徒はこう動くのか。」

「こういう話を授業内容と絡めて話すから面白いのか!」

というふうに、その先生の良いところを探したりなぜそういう行動をするのかを考えていました。逆に僕が好きではない教え方をする先生の授業では、

「なぜ先生は生徒の○○を気にしないんだろう?」

「なぜこの授業を面白く感じないのだろう?」

「もし自分なら、こういう教え方をするのにな。」

というふうに、なぜなのか、もし自分だったらどうするのかといったことを考えていました。

それをする中で「〇〇先生の〜がダメだ!」「日本の教育の〜が悪い!」「もっとこうすれば良いのに何故しないんだ!」と考えるようになり、また「海外の〇〇の教育は日本と違って〜が良い!」「日本と比べて〇〇の教育はここが優れている!」「日本も真似するべきだ!」と考えるようになりました。

今考えると、とても無知で偏った考え方をしていたなと感じます。そのような考えを持った状態で「フィンランドの教育はどんな素晴らしいものなんだろう?」「生徒目線から直接経験して、良いものを発見し、持ち帰って活かそう!」という思いを膨らませながら日本を旅立ちました。


フィンランドの高校に入ってすぐ、あることに気付かされました。全く理解できないフィンランド語での授業をなんとか分かろうと勉強し、つたない英語でなんとか授業を受ける中で、

「なるほど、日本と違ってフィンランドはこういう教え方をしているのか。」

「フィンランドの先生は授業中にこんな動きをしているのか!」

「〇〇はとても素晴らしいな!真似しなきゃ!」

でも!!!!

「フィンランドの〇〇もいいけど、日本の△△も実はすごく良いものだったんだ!」

「日本の〇〇は素晴らしい制度だったんだ!」

「なるほど、ここは日本の教育と同じだ!」

というふうに、今までは全く気づかなかった日本の教育の良いところに気づかされました。

それまでは、日本の教育の悪いところばかりに目がいっていました。また、日本の教育の悪いところと海外の教育の良いところを比べて、日本をより悪く評価していました。

そこで、「教育分野だけを見るのではなく、それぞれの経済や文化、価値観を踏まえて考える」そして「日本の教育と海外の教育の良い点同士と悪い点同士をそれぞれ比べて相対的に評価する」べきだと気付きました。

日本とフィンランドの教育を両方経験してみて、新たな視点と考え方を見つけることができました。

教育の本質

フィンランドで生活する中で、日本とは違う教育・文化・価値観を知り、幾度となく自分の教育に対する考え方や本当に自分がしたいことについて考えました。

また留学が終わった今だからこそ分かることではありますが、私は当初、フィンランドの教育について何か大きな発見をすることを目標にしていました。しかし、いざフィンランドの学校の授業を受けてみると、出会うのは日本のテレビやインターネット、本などで手に入れたものばかり。良くない表現かもしれませんが、少しがっかりしてしまいました。

自分の知っていることばかりで、何も新しい大きな発見ができていない。自分は何をすべきだろう。そんな事を考えていました。

フィンランドで過ごし始めて3ヶ月が経った頃、改めて自分が今までに学んだことや経験したことを振り返ってみると、「大きな発見や違いは、わかりやすいからこそ様々なメディアから手に入れられるんだ!本当に大切なのは、直接体験して感じてみなければわからない"小さな"ことなんだ!」と気付きました。それからは、自分がいる環境を精一杯楽しみながら学ぶことができるようになりました。

また、小さなことに気付けるようになったおかげで、教育の本来の目的や意味について、自分の中で新しい考え方が生まれました。そして、より教育のおもしろさに惹き込まれていきました。

今までの自分は教育の理想ばかりを考えていました。しかし教育は手段であり、教育は子供が主役です。決して大人の都合に左右されずに、常に子供が第一に考えられるべきだと考え始めました。

そして、「教育というものには絶対的な正解は存在せず、その時代や環境、教育を受ける人によって異なる。また、常に変化していくべきものだ」と改めて気付くことができました。


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たくさんの出会い

僕はフィンランドに来てたくさんの素晴らしい人たちに出会いました。その中から特にお世話になった方と教育分野での出会いについて書こうと思います。

お世話になった方々

まず、一番お礼を言いたいのは僕の留学先とホームステイ先を見つけてくださったすみれさんです。

彼女はフィンランドの高校に正規留学している18歳で、今は一人暮らしをしながら学校に通っています。僕はすみれさんの協力のおかげで留学をすることができました。というのも、留学に行きたいと思い立ったのが遅かったために、フィンランドに留学できるプランのあるエージェントがなかなか見つからず、すでにトビタテ留学Japanの募集も終了していたため、どうやって留学するか決めることができていませんでした。そんな中で、親身に相談に乗ってくださり、留学生を受け入れてくれる学校とホームステイ先を紹介してくださいました。

フィンランドに来てからも様々な場面で助けてもらい、本当に感謝しています。彼女の一人で外国で生活する生きる力と勇気には本当に驚きました。


次に、フィンランドで先生をしていらっしゃった地下さん(じげさん)です。

フィンランドに着いてすぐに、地下さんが先生をしている街へ行き、2日間学校を見学させていただきました。

地下さんとの出会いは、僕が留学前にフィンランドについて調べている中で、フィンランドの教育について書いている地下さんのブログをたまたま発見し、ご連絡したのがきっかけでした。

地下さんとは留学初日にお会いしたあとも、何度もオンラインで相談に乗っていただき、また2020年1月末にヘルシンキで開催された教育イベント「Educa」にも誘っていただき、本当にいい経験をさせていただきました。とても感謝しています。

現在は、鹿児島で教育コーディネーターをされています。 また、教育やフィンランドに興味がある高校生のコミュニティーやフィンランド教育に関するイベントを主催されています。僕もここで一緒に活動させていただいています。


最後に、僕のホストペアレンツです。

僕が一番お世話になったのは、言うまでもなくホストペアレンツです。全く知らない日本人を迎え入れ、家族として接してくださった二人には本当に感謝しています。どんなときでも僕のことを気にかけて助けてくださいました。二人には感謝してもしきれません。数年以内にしっかりとフィンランド語が話せる状態でフィンランドに行って、改めて感謝を伝え、自分の成長した姿を見せてあげたいと思っています。


教育分野での新たな繋がり

またこの7ヶ月で、教育に関わっている外国人や日本人の方とたくさん繋がることができました。

「お世話になった方々」でご紹介した地下さんのお誘いで一緒に参加させていただいた教育イベント「Educa」では、ヨーロッパに留学している大学生や日本で地域おこしをしている方、小学校の先生など、様々な分野で活躍している16人の日本人に出会いました。

彼らとは、3日間の教育イベントの中でたくさんのことを話し合い、僕の将来や進路についての相談にも乗っていただきました。

その中の一人の大学生の方の紹介で、長野で新しくできた学校の英語の先生に出会いました。その先生とのお話の中で、その学校は公教育の枠にとらわれない、僕の興味がある教育がいっぱい詰まっている学校だ!と気付きました。その後、是非見学させてほしいとお願いすると、その先生は快く「帰国したらいつでも見においで!」と言ってくださいました。

フィンランドで日本人との新しい繋がりができた瞬間でした。



フィンランドにいた7ヶ月間で本当にたくさんの人に出会い、たくさんの素晴らしい繋がりを持つことができました。

知り合いのいない、日本から遥か7000キロも離れたフィンランドでのたくさんのあたたかくて素晴らしい人との出会い。これはフィンランドに来なければ得られなかった宝物です。僕はつくづく幸せな人間だなと思いました。


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今後の目標

僕の留学の大きな目的の一つに「フィンランドで経験したことを踏まえて、しっかりとした目的意識と強い意志を持ち、自分の望む進路を決めたい」というものがありました。

「本当に自分がしたいことは何なのか?」

これは僕が7ヶ月間で一番悩んだことです。自分が将来やりたいことを明確にして、そこから逆算することによって、「自分が学びたいこと」「自分に必要なこと」を具体的にし、進路を絞ろうと模索しました。

「自分が教育に興味を持つきっかけとなったものはなんだろう?」

そんなことを考えていた時、ふと思い出したのが中学生の頃の社会の先生でした。

その先生は独創的で面白くて、とても興味のそそられる楽しい授業をする人でした。僕もそんな先生になりたい。そう思ったのが僕の教育の道への第一歩でした。

そっか。僕は日本の社会や世界のこと、また様々な文化や歴史についてもっと知りたい。そしてその楽しさを子どもたちにも知ってほしい。だからそれらを面白く教えてあげられる先生になりたかったんだ。

高校二年生の時、周りに流されて焦って進路を決めようとしていた僕が見落としていた、「自分の原点」に気づくことができました。

社会科で興味深い教育をしている大学はどこだろう?他分野も学ぶことができる大学はどこだろう?教育に対して熱い思いを持っている学生が集まる大学はどこだろう?自分が本当に学びたいことを学べるのはどこの大学だろう?

そんな中、見つけたのが東京学芸大学でした。

東京学芸大学は、自分が特に学びたいことや、興味があることができる大学であったこと。そして [ たくさんの出会いの教育分野での新たな繋がり ] でお話した長野の新しくできた学校と連携協力をしており、大学内でも自分の興味のある学校に繋がりを持つことができることに魅力を感じました。

フィンランドの高校での経験やたくさんの出会いのおかげで、フィンランド留学の大きな目標の一つである進路目標の決定を達成することができました。

僕は日本に帰国してから約1ヶ月後に、高校に復学します。残された受験までの時間はあと7ヶ月ほど。

自分が学びたいこと、自分がしたいことを実現するため、精一杯頑張りたいと思います。 



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