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暗記のコツ。文脈を重視し、余計なことまでいっぱい覚える。

効率の良い記憶方法

テスト勉強において、暗記は避けて通れない大きな壁です。
皆さんも学生時代、教科書の内容をなかなか覚えることができず、苦労したり挫折したりした経験があるのではないでしょうか。

そこで、効率良く楽しく暗記をするための、一つの作戦をご紹介したいと思います。

効率の良い暗記というと、覚えるべきポイントを絞り、重要な部分だけを集中して記憶するというような考えが浮かびます。

ですが、今回ご紹介するのはその正反対です。余計なことまでまとめて覚えてしまおうという作戦です。

覚えなければいけないことだけに注目するのではなく、その周辺にある細かな情報もまとめて取り入れ、それがどのような文脈の中に位置しているのかをきちんと理解することで、記憶の助けにしようということです。

マンガの内容は簡単に覚えられる

少しわかりづらいと思うので、マンガを例に出してみましょう。
皆さんが過去に読んできたマンガを思い出してみてください。登場人物やその得意技、起こった出来事など、一度読んだマンガであれば何となく記憶に残っているのではないでしょうか。

そのような情報は、それ単体で記憶しているのではなく、ストーリーの流れと一緒に頭の中に入っているはずです。
あの人とあの人がこういうライバル関係や利害関係にあったからこのような出来事があった。
あの人にはこういった過去があったからこのような能力が身に付いた。
このような文脈を下地に、いろいろな知識が頭に染み込んでいくのです。

テスト勉強にも、こういった記憶の仕方を活用しようというのがこの作戦の意図です。

少しテストをしてみましょう。次の表を1週間で記憶し、確認テストを行うという課題が与えられたとします。

プレゼンテーション4

この表は、マンガ『ONE PIECE』の、アラバスタ編(12巻~24巻)に出てくる悪魔の実と、その能力者の一覧です。(「悪魔の実」を食べると特別な能力が身に付くという設定だそうです。)

この表だけを頼りに記憶することを想像してみてください。多くの人がため息をつくのではないでしょうか。

そうやって強引に覚えるのではなく、マンガを読んでストーリーを理解することで、記憶が容易になることが簡単に想像できます。

表だけを使っての記憶でも、1週間後のテストで良い点数を取るのは不可能ではありません。むしろそっちの方が短い時間で済むと考える人さえいるかもしれません。
ですが、3か月後を考えてみるとどうでしょう。表だけを見て記憶した人よりも、マンガを読んで記憶した人の方が多くのことを覚えているだろうことは明らかだと思います。

それに何より、記憶する作業がマンガを読んだ方が圧倒的に楽しいです。

マンガを読むように覚える

同じような感覚でテストに出てくるようなことも記憶できたら簡単で楽しいと思いませんか。

例えば歴史を覚える際、人物や事件、政策を単体で覚えるのではなく、その人がどういう人だったのか、何をきっかけにこの事件が起こったのかを知っていることが、知識の助けになります。

歴史上の人物は教科書に載るだけあって、突飛な逸話が多く残っている人が多いですし、日本史で起きた昔の事件の裏にはドロドロした人間関係があったりして、意外と楽しく覚えられるものです。

数学の定理も、そのまま暗記するのではなく、なぜその定理が生まれたのか、その定理で何がわかるようになったのかという物語の中で覚えることで、記憶を助けるだけでなく、活用もしやすくなります。

そもそも、テストで求められるべき力というのは、単に物事を記憶するだけの力ではなく、物事と物事を有機的に結びつける力であるようにも思えます。
このような記憶の整理の仕方は、テスト以外でも役に立つと思います。

この作戦が面白そうだと思ったら、ぜひ一度試してみてください。

と提案したところですが、この作戦も万事において完全というわけではなく、欠点とはいえないまでも、課題は少なからずあります。
実行に移る前に、そうした課題を認識しておいてほしいと思います。

この記憶方法の課題

数えてみたら5つも課題がありました。

一つ目の課題は、一夜漬けには不向きということです。
文脈を理解し、いろいろな情報をまとめて取り込むには、ある程度時間がかかります。明日のテストまでに覚えなくては!という状況であれば、いちいち文脈を考えている時間はないかもしれません。上記の表だけでの記憶と、マンガを読んでの記憶を比較してみれば想像しやすいと思います。
このように一夜漬けには向きませんので、そもそも一夜漬けにならないよう事前の余裕を持っての準備をお勧めします。
一度ゆっくりと時間をかけて覚えた方が記憶から抜けにくいので、長い目で見れば効率が良いのは間違いありませんので。

二つ目の課題は、必ずしも一発で覚えられる訳ではないということです。
文脈はあくまで記憶の助けです。文脈と合わせて一度理解したからといって、それが全部頭に残るというわけではありませんので油断は禁物です。
一度文脈を理解しておくと、思い出す際にもいろいろな情報が記憶を掘り起こす助けとなるのがこの作戦の肝なので、忘れたころに思い出す練習はするようにしましょう。

三つ目の課題は、文脈を探し出すのにコツが必要という点です。
覚えたい全ての知識が、マンガのようにパッケージ化されているわけではありません。その情報がどういった文脈に位置づけられるかは、自分で見つける必要があります。教科書にも多少の文脈がある場合もありますが、多くが簡潔で淡白な内容になっていると思います。教科書だけでなく、資料集などからも情報を得るなど、一つの媒体だけでなく、複数の情報源を活用して文脈を設定する必要があります。
慣れてくればそんなに難しくなく、それ自体が楽しい作業だったりするのですが、最初のうちは少し苦労するかもしれません。

四つ目の課題は、覚えたい部分はちゃんと意識する必要があるという点です。
文脈の中で記憶すれば、すべての情報がバランスよく頭に入るというわけではありません。

例えば、日本史のテストでよく問われる年号などは、文脈の中においても意識しないとなかなか覚えられません。
そこで、この事件はあの事件の何年後に起きた、というように、特に意識しながら文脈を設定する必要があります。

様々な情報で彩るけれど、大事な部分はしっかりと濃く色づけるという意識が大切です。


五つ目の課題は、テストで問われるような情報の記憶はマンガほど面白くないことが多いという点です。

というより、面白さの質が違うといったほうが正しいでしょうか。
マンガはそもそも楽しませることを目的とした読み物ですから、多くの人にとってわかりやすく面白いです。
それと比べてしまうと、記憶のための学習はそこまで面白くはないことが多いです。
少しだけ面白さに対するハードルを下げてから取り組むと長続きしやすいかもしれません。
とはいえ、単純な暗記よりはよっぽど楽しいですし、知識が増えていくにつれて様々な知識が有機的に連関していくようになり、指数関数的に面白くなっていくので、それを目指して頑張っていきたいものです。

以上の課題を把握したうえで試してみることをお勧めします。

外国語学習にもおすすめ

最後に、外国語学習におけるこうした記憶方法の効果についてお話しします。
外国語の単語や文法は、文字通り文脈の中で覚えるのが効果的だと思います。

外国語の単語の意味は、日本語の単語の意味と一対一の関係ではありません。
例えば、英語の「room」という単語は、「部屋」という意味だけではなく、単に「スペース」を表すこともあります。

これらを1個1個強引に頭に入れようとするよりも、いろいろな文脈の中で多くの言葉に触れることで意味を理解していった方が、いわゆる語感が正しく身に付くように思います。

さらに、外国語に関しては、その言語で書かれた絵本や小説や記事などがいくらでもあり、文脈には事欠きません。
その中から、マンガのように自分が楽しめる内容の文章を探して読めば、それがそのまま言語学習になります。
自分のレベルに合わせたものを選ぶ必要があるという制約はありますが、物語を楽しみながら言語の勉強ができればまさに一石二鳥です。

おまけに、こうした学習方法では自然と読む英語の量が増え、英語学習で言うところの英語脳のようなものが身に付きやすくなります。

補足ですが、単語を辞書で引く時も、英英辞典で引くと自然と文脈の中に単語を位置づけることができます。英和辞典で引く時も、その単語が他にどんな意味を持つか、一緒に載っている例文を見てどんな文脈で使われるかもまとめて確認すると、より印象に残りやすいように思います。

音声やコミュニケーションがさらなる記憶の助けに

結びつける情報は、文字で書かれた情報に限りません。音も重要な情報になります。
文字だけで記憶するよりも、その音もセットで覚えた方が格段に頭に残りやすいです。なのでぜひ、正しい発音もセットで覚えるようにしましょう。
英語を学習している子どもを見ていても、文字と発音を結びつけるフォニックスの練習をするか否かで学習の効率が大きく変わります。

さらに、コミュニケーションという文脈まで加わると、記憶には最適なのかもしれません。外国人との会話であれば、五感のすべてを使って言語に触れることになりますから、教科書だけで勉強する何倍もの刺激を受け、記憶を脳に刻み込む助けになるでしょう。

長くなってしまいましたが、この冗長な文章も必要な情報を記憶するための文脈として温かい心で受け容れていただけていれば幸いです。

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