「ロスト・ケア」を読んだ。

「ロスト・ケア」  葉真中顕  光文社文庫 を読んだ。

戦後犯罪史に残る凶悪犯に降された死刑判決。その報を知ったとき、正義を信じる検察官・大友の耳の奧に響く痛ましい叫び――悔い改めろ! 介護現場に溢れる悲鳴、社会システムがもたらす歪み、善悪の意味……。現代を生きる誰しもが逃れられないテーマに、圧倒的リアリティと緻密な構成力で迫る! 全選考委員絶賛のもと放たれた、日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
(光文社より)

騙された。ものの見事に騙された。犯人の名前が出たとき、「あれっ? どこで、何を間違えた?」と意味もなく、頁を戻したよ。
なんなら、序章も読んだよ。
そうですか、先入観ってのは、怖いね。
まぁ、そもそも、推理小説読んで、私が犯人わかったことなんてないんだけどさ。

この本のすごいところは、それぞれの立場での、考え方。
正しくないかもしれないけど、確かにその立場にいれば、その論理は成り立つんだろうな。それが詐欺師でも。

介護のシステムの穴には、誰もが陥る可能性があるが故に、もう、読み進めずにはいられない。

安全地帯から正義を振りかざされても、それで、誰が救われるのか?

それでも。人はこの世界で、足掻いていくしかないのか。絶望を抱えて?それともかすかな、まやかしかもしれない希望を頼りに?

非常に重い読後感の本でした。
でも、絶対、読んだ方が良い本。心惹き付けられるから。

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