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マチネの終わりに 読後感想

人生は、浜辺に打ち寄せる波のよう。


作者の平野啓一郎さんの言葉を借りるなら、人生は『華やかさと寂寥とが交互に立ち現れる。歓喜と悲哀が綱引きをしている』ものかもしれません。


寂寥や悲哀を感じる時にどのように立ち振る舞うか


支えてくれる人の存在

これはその人の人生や生き方に、とても大きな影響を与えるでしょう。


『マチネ(matinee)』はフランス語で、朝・午前という意味であり、ミュージカル、バレエ、オーケストラ等の昼公演のことを指します。これに対して夜公演は『ソワレ』となります。

◇主な登場人物

蒔野聡史(まきの さとし 38歳) クラシックギタリスト

小峰洋子(こみね ようこ 39歳) 国際ジャーナリスト

イエルコ・ソリッチ 洋子の父 ユーゴスラビア人、映画監督


映画にて蒔野聡史役を福山雅治さん、小峰洋子役を石田ゆり子さんが演じられていたこともあり、容易に情景を思い浮かべる事が出来ました。


本文中、最も印象的だった一節は、

『恋の効能は人を謙虚にさせること』


凜とした空気感をこのフレーズから思い出しました。

恋を通じて自分自身を見直す…懐かしい感覚です。


40歳を前にした洋子の選択とは…

一度は離れたジャーナリストとしての使命感、正義感も大きくその後の運命に関わってきます。


蒔野の奏でる音楽、音色を心から愛する洋子

蒔野の音楽と洋子の父ソリッチとの運命的なつながり


天才ギタリストとしての、人知れぬ苦悩。

その苦悩から立ち上がらせたものは・・・


蒔野と関係の深い人物が作った流れ

その流れに蒔野と洋子はともに翻弄されながらも、最後に穏やかな陽光のような終着点に到達出来たように想います。


恋愛にとどまらず、アメリカのイラク問題、ユーゴスラビア紛争というテーマが織り交ぜられた作品です。


今も交流を続けているソリッチと洋子の微笑ましい父と娘の交流も、うまくアレンジされていました。


今の時代、40代というのは人生の大きな変曲点である場合が多いように思います。

私にも様々な出来事がありました。


自分なりに必死に生きてきたこと

佳い想いを経験出来たこと

弱かった部分、うまく行かなかった部分

様々なことを受け入れて、時に受け入れられぬこともあり、


それでも今ここにいる…やはり今を愉しみ、生きることがお世話になった方々、過去の自分への恩送りとなるのでしょう。


人生の復路を歩いているあなた

様々な葛藤を受け入れつつ、強く生きているあなたにも

是非読んで頂きたい464頁の小説です。


以下映画のキャッチコピーです。

愛とは何か、人生とは何か。
今冬、切なくも美しい大人の愛の物語が、ついにスクリーンへ。


交錯する想い、あらがうことの出来ない運命
情熱と現実の間で揺れ動く二人の愛の行方とは。

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