国語科教員になりたかった私の話6「妹の手術」

予備校にも通い始め、将来のことを考えてとてもわくわくしているうちに2月になった。

 その日私は、当時所属していたテニス部の仲良い女の子と共に、部員皆で作ったお揃いのカバンが出来上がったという連絡を受け、お店に直接受け取りに行き、配ったりしていた。かっこかわいいカバンで、とても気分よく帰宅した。

 帰ると、明らかに両親の様子がおかしかった。二人ともダイニングの椅子に座って、空気がとても重かった。

 私が友達とお気楽な時間を過ごしていたその日、実は妹の心臓の根治手術だった。

 妹は生まれつき心臓が悪く(極型ファロー四徴症という病気)、今回の手術では、たしか心臓に繋がっている太い血管を人工のものにする、というものだった。

 この人工血管にすることによって、半永久的に手術をしなくても良くなるということで、後に母から聞いたところによると、妹は治ったら今までできなかったことをやりたいと言っていたらしかった。

 しかし、その手術は大失敗。

 今まで幾度と繰り返してきた手術の影響で血管が骨にくっついてしまっていて、胸を切開したら破れて大量出血したのだ。

 この手術はもともと3%の確立で死ぬと言われていたが、その3%の方に入ってしまったものの、なんとか一命を取り留めたようだった。

 意識が戻ってから妹はお医者さんに呼び出され、母とともに手術の経緯を聞かされた。それでも泣かなかったらしい。


(国語科教員になりたかった私の話7に続く。)

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