国語科教員になりたかった私の話5「担任ガチャ」

 時は流れて、高校一年生の四月。

 私は、そのまま附属高校に進学した。

 高校になると、クラスは植物の名前ではなくアルファベットになった。
私はB組。
担任は、体育科のM先生。
さわやかで熱心な先生だった。

T先生はお隣のA組の担任。
まさか、T先生が担任になる可能性まで秘めていたとは……しかしそのガチャを引き当てられなかった。
国語の担当も違う先生だった。不運すぎる。

 入学して間もないある日の放課後、正面玄関を降りるとT先生に会った。
 そのまま事務室の前で立ち話をした。T先生は私の進路について聞いてきた。

 実は、中学三年生の時の文化祭でも、偶然会ったT先生と進路の話をしたことがある。
 私が通っている学校は大学附属のため、生徒の中には幼稚園、小学校受験だけ経験して終わる人もいる我が母校。
中学・高校受験で入ってくる生徒も、大学目当ての人が多い。
 私もその一人で、中学受験が終わってから進路のことなんて一度も考えたことがなかった。三年間で落ち着いた環境にはなったものの、過ごしやすいとまでは言えないのが正直なところではあったが、高校で他の学校に進学する気はまったくなかった。
 文化祭で、高校から遊びに来ていたT先生は校庭の端で「西田、成績大丈夫なの?てかこのままここの高校上がるんだよね?」と私の進路を聞いてきた。

 その時も今も、担任でも教科担任でもないのに、私の進路を気にかけてくれることがとても嬉しかった。

 私が国語の先生になりたいという話をすると、教育学部ではなく文学部に行った方が良いとか、他にも色々アドバイスをくれた上で「いつでも相談しにきな」と言ってくれたのだった。

 さて高校一年の冬になると、進路に関係するガイダンスや調査が行われるようになってきた。

 高校二年からは進路別にクラスが分かれることになっている。
 ほとんどが内部進学クラスで、希望者のみ、理系受験クラス、文系受験クラスに配属される。

 私はT先生の勧めで、文学部国文科に進学しようと考えていた。
 加えて、将来はこの学校に戻ってきてT先生達と一緒に働きたいとも考えていたため、附属大学よりランクが高い大学を希望していた。この学校の教員が、尽く高学歴であったためである。そして、大学院まで出ている人がほとんどであった。

 つまり、内部進学クラスではなく、文系受験クラスを希望していた。

 さて、受験ガイダンスでT先生に会った際、「今度資料もらったらまたおいで。」と言ってくれたので、お言葉に甘えて後日面談をしてもらった。

 来年度にどの授業を取るか、教育学部を視野に入れるなら国公立対策をとか、世界史ではなく日本史を選択しろとか、プリントの記入欄の端から端まで選ぶのを手伝ってくれた。

 受験に向けて早めに準備するために、この頃、いくつか通いやすいところの説明を受けて、予備校に入ることにした。

 この予備校生活が、メンタル紙防御の私にとって、なかなかハードな刺激を与えてくることになるのであった。


(国語科教員になりたかった私の話6に続く。)

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