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義弟は超ダメ人間だけどアレはでかい【後編】

【前編】はこちら

「ね、義姉さんっ……お、俺っ……」

 目の前に、義弟の顔がある。
 薄くて目の細いその顔が、わたしの顔を覗き込んでいる。
 フーフー鼻息をさせながら。
 
「えっ……」

 目を覚ました瞬間に、わたしの時間が止まった。
 どうやら、夢の続きではない。
 だって、目の前にいるのはダンナではない。
 
 義弟だ。
 隆文だ。

 30にもなって仕事も決められず、兄貴に詰められてるうちの居候だ。

「ね、義姉さんっ……あ、あのっ……」

「い、いやっ!」

 発作的に、わたしは義弟の胸を両手で突き飛ばした。
 さらに反射的に、両足で奴の腹をどん! と蹴り飛ばした。

「げほっ!」

 義弟がソファから床に転がり落ちる。
 わたしも……まだ完全に眠りから覚めてなくてふらふらしてたけど……ソファから立ち上がった。
 床に這いつくばって、げほげほ言っている義弟。

「な、なにやってんだよテメエっ!」

 わたしは右足を振り上げ、義弟の後頭部を踏みつけようとした……
 もう、必殺の勢いで。

 が、なぜか脚が絡まって反転しながら倒れる。
 結局、またもとのソファにうつぶせになってしまった。

「えっ……」

 なぜだ。
 自分の下半身を見て、なぜだかわかった。

 なんと、履いていたジーンズが膝まで降ろされている。
 その下に履いているユニクロのグレーのコットンショーツが、むき出しになっていた。

「あ、ああっ……ね、義姉さんっ……ご、ごめんっ!」

「ご、ごめん? ……ごめんで済んだら警察いらねーよ! わかってんのあんた? これ、強制わいせつだよ? レイプ未遂だよ? 犯罪だよ? 真剣にバカなの? どこまでバカなの? どこまで社会性ないの? 変態っ! 無職っ! 穀つぶしっ! クズっ! ダメ人間っ! 異常者っ! ●●●●っ! ●●●っ! ●●●●っ! ●●っ!」

 などなど。ここではとても公開できないようなことも少々。

 わたしの怒りは完全に爆発していた。

 これまで抑えていた義弟への怒りをせき止めていたダムが決壊し、激しい言葉となってあふれ出し、リビングを飲み込む。

 ジーンズを膝まで降ろされてパンツ丸出しの情けない恰好だったけど、ほぼわたしは怒りに我を忘れていた、と言っていい。

 義弟はなんと、上半身裸だった。
 がりがりの生っちろい肌を露出している。

 あばらが浮いてそうな胸板。
 下はジーンズ一枚。
 顔面蒼白になって、わたしの言葉を一方的に受けていた。

「ね、義姉さんっ……」

「何よ? なんなのよっ? 出てけっ! いますぐ出ていけっ! でないとあたし、いますぐ警察呼ぶからねっ!」

 と……義弟はいきなり……上半身裸のまま、フローリングの床に土下座した。

「許してくださいっ! ほんの、ほんの出来心だったんですっ……ほんと、ほんとに俺っ……姉さんのことがっ……前からっ……」

「はああああ? ふっっっっっっっざけんなっ!!! バカかテメエはっ? 前から何なんだよ? ああ? 前から何だ、って言いたいんだよっ!」

 いやほんと、そりゃダンナも心底から嫌うわ、という感じ。

「義姉さんのことがっ……」

「それ以上っ……それ以上言ったらこの場でコロス!」

 と、義兄が立ち上がった。
 えっ……やばっ……と思った。

 この状況……いま、家にはわたしと義兄のふたりきり。
 わたしはジーンズを降ろされて、パンツ丸出しの状態。

 義弟は上半身裸。
 立ち上がると、背が結構高い。

(えっ……ひょっとしてわたし……めちゃくちゃ危険な状態? ヤバい?)

 ガチ切れされたら、ぜったい義弟のほうが……あんなガリガリだけど、いちおう男だし……力も強い。

 ここで暴力に訴えられたりしたら……
 差し違えてでもコイツを殺るしかない!!!!
 
 と、身構えていたら……突然、義弟は泣き出した。

「な、なんなの? ……どしたの? 今度は泣くの?」

 義弟は泣きながら、幼児のようにフローリングにへたり込んでしまった。
 そして涙まじりに、鼻水まじりに、一気に胸の内に詰まっていたらしい……ものを吐き出した。

「……うっ……うえっ……俺さあ、兄貴の結婚式ではじめて見て……うえっ……義姉さんに一目ぼれしたんだよね……えっ……えっ……さすが俺の兄貴、かわいい奥さんと結婚したなあ……と思ったんだけどっ……えっ……うっ……そりゃそうだよなあ、と思ったんだよね……えっ……うっ……だって、兄貴なんだもん……兄貴は、俺よりずっとずっとずっとずっと……ずっと出来た人間なんだもんな……そりゃ、俺の理想の人がいたとしても……もし、義姉さんと……もし、だよ? ……別の、ぜんぜん違うところで出会っていたら……それでも、兄貴がいる限り……兄貴がこの世に存在する限り、義姉さんは兄貴のことを選ぶんだろうなっ、て……えっ……えっ……昔から、ずっと親にも兄貴と比較されて、“なんでお前はできないんだ”“せめて兄貴の半分くらい、いや四分の一くらいはできないのか”って言われ続けてさ……えっ……えっ……親父に。幼稚園から、ずっと、ずっと、ずっとだよ……うえっ……えっ……高校も兄貴はいい学校に入ってさ……俺はふつうの公立で、兄貴はそのまま国立大入ったけど、俺は三流Fラン私大でさ……“せめてお前は親のカネ減らさないくらいの孝行はできないのか”って親父に言われてさ……就職も、このとおり……うっ……うえっ……そりゃ、兄貴に見下されるのも仕方ないよね……俺、不良品だから……人間粗大ゴミだから……」

 え……なにそれ。
 わたしは面食らっていた。
 まだジーンズを膝まで降ろされてパンツ丸出しのまま。

「“人間粗大ゴミ”ってのは否定しないけど……え? え? なんで? 聞いてたのと違うよ? うちのダンナ……言ってたよ? “母親はあいつばり可愛がって甘やかす”とか“あいつは顔がいいから俺より母親に可愛がられてきた”“俺はあいつのせいで愛に飢えて育った”とか……」

 いい歳こいて『親の愛が足りなかった』とか、ちょっとうちのダンナ、キモいかもだけど……わたしはダンナにずっと同情してきた。
 ダンナだから、というか……わたしも共感している。

 うちの妹はわたしより……いや、わたしも十分かわいいけどさ……ずっとカワイイ。 
 カワイイだけじゃない。めちゃくちゃ頭もいい。

(わたしもなんとかFラン私大……で、妹は公立大……てか、ほぼ一緒じゃん……)

 ズキン、と胸がうずいた。
 だめなわたし。ほんとにだめ。

 しかも、妹はスタイルも超よくて学生時代は読モやってた。

「それはさ……お袋は、俺を……その、少し足りない、ってのかな……ダメな子? っての? 小さい頃からそんなふうに思ってるみたいでさ……いや、そう思ってるんじゃなくて、そう思いたいんだろうな……兄貴があんなに優秀なのに、俺がこんなだから……だから、俺に甘いんだよ……でも、兄貴にしてみると、そんなふうに思えたのも仕方ないよな……兄貴も俺の事、きっとちょっと足りないと思ってるよ……」

 義弟は泣き止んでいた。

「ごめん……わたしも実は……ちょっとそんなふうに思ってた……」

 わたしの勢いが、完全に削がれた。
 ああだめ、だめなわたし。

「……やっぱ、俺はダメだな……実は仕事クビになって、実家に帰ってもよかったんだけど……そんなだから、実家にも帰りづらくてさ……でも、奥さんのいる兄貴の家なんて、それよりずっと居心地が悪いはずだけど………………ごめん、ちょっとだけだけど、義姉さんと暮らせて楽しかったよ…………あ、ほんとに昨日のハンバーグ、おいしかったよ…………じゃあ、俺、出てくね……兄貴にはよろしく言っといて……ほんとにごめん、姉さん……こんなことして……もう二度と、絶対、顔は出さないよ……」

 そう言うと
 義弟は寂しそうに笑って……部屋を出ていこうとした。

「待ちなさいよ……」

 え。わたしの口、なに言ってんの?

「え?」

 待って待って待って、わたしの口……なに言うつもり?

「一回だけ、これっきりだからね?」

 うそでしょ……わたしは確かに、自分の口がそう言うのを聞いた。

「んああっ! ……あっ……あ、あ、あっ、あっ、あっ……だ、だめっ!」

「義姉さんっ……ああっ……義姉さんっ……!」

 義弟は、めちゃくちゃ巧かった。
 腹立つくらい、というか、天才かこいつ、と思うくらい巧かった。
 
「だ、だめっ……ほ、ほんとっ……もうだめっ……んっ……んあっ……ああっ!」

 義弟はわたしの太ももの間に顔をうずめて、巧みに舌を使う。

 それがまた微妙な舌使いで……めちゃくちゃに舐めるんじゃなくて、触れるか触れないかのタッチで焦らしたかと思うと、一気に追い上げ、はぐらかす。

 こっちがたまんなくなると、またゆっくり追い上げて、激しくして、またやめる。

(な、なんなのこいつ……て、天才? 何やらしてもダメな奴のはずなのに……こんなことだけデキるの? ……どういうこと?)

 いまはあそこを舐められているが、そんな感じで全身を舐めつくされた。

 首筋も、おっぱいも、脇腹も、わきの下も、背中も、お尻も、太ももも、膝も、膝の裏も、脛も、ふくらはぎも、足も、足の指の股ひとつひとつも。
 
 もう、舐められてないところはないくらいに。
 いったいどれくらい時間が経ったのかわからない。

(や、やばいって……ダンナ帰ってくるって……てか今何時? でも、もう、なにがなんだかわかんないっ……)

 というか、ダンナより絶対上手い。
 いや、レベルがちがう。

 ダンナが草野球なら、義弟はメジャーリーグだ。
 ダンナが町内のカラオケ大会だったら、義弟はブロードウェイ級だ。
 ダンナがトイピアノだったら、義弟はスタインウェイの最高級グランドピアノだ。
 ダンナが指相撲なら、義弟は横綱だ。

「んああっ……だ、だめっ……も、もうっ……もう許してっ……だ、だめえっ……」

「ああ、義姉さんっ……好きだよっ……ゆ、夢みたいだっ……」

 とかなんとか言いながら、わたしを舐めて、舐めて、舐め倒した。
 
 これまでにわたしは、4回イかされている。
 こんなに連続してイかされたのは、生まれて初めてだ。

 リビングのソファで、すっ裸に剥かれて、こんな明るいうちから……
 てかもう、外は夕陽が指している。
 ああわたし、こんなに声出して……ご近所に聞かれたらどうするんだろう。

「も、もうだめっ……お、お願いっ……ちょ、ちょうだいっ……きてっ!」

 こんなこと、本気でダンナに言ったことない。
 今みたいに自分から脚をおっぴろげて、物欲しそうな目で相手をねっとりと見上げたことなんかない。

 こんなに切羽詰まったことがない。

「い、いいの? いいの義姉さんっ……?」

「いいも悪いもここまで来てヤめられるわけねーだろーが! ……てかさっきはわたしが寝てる間、イタズラしてただろーがっ! さっさと来いよこの無職の能無し野郎っ! ……って……えっ?」

 義弟が自分のジーンズとパンツを一気にずり下げた。
 びゅん、と風を切りそうな勢いで、それがまろび出てきた。

 うそでしょ。
 あれ、なに?
 あれ、人間の身体の一部?

 あんなに……あんなにでっかいなんて、あり得る?

 てか、コイツなんなの? ……無能の無職のくせに。
 なんなのあの、ばかでかいアレは。
 
 こいつ……セックスマシーンかなにか?

「ね、義姉さんっ……ほんとにいいんだよねっ……」

「ご、ごめん、ちょ、ちょっと待って……さ、さっきは悪かったからっ……ね、ね……ちょ、ちょっと待って……あの、あのっ……」

 思わず、わたしは自分で開いていた脚を閉じていた。
 そいて逃げ場のないソファのうえを、裸のお尻で後ずさる。
 
「ま、待てないよっ……だ、だって……義姉さんとヤりたくて……こ、こんなになってんだから……お、お願いだから……」

「こ、こんなにって……そんなになる? そ、そんなのきっと……は、入んないよっ……わ、わたし、壊れちゃうって……え、あ、きゃっ!」

 両膝頭を掴まれて、閉じていた太ももを大きく開かれた。
 そのまま……義弟の身体が、わたしに覆いかぶさってくる。

「ね、義姉さんっ……!!」

「あっ……む、ムリムリムリっ……は、入んないってばっ! ……あ、ああっ……だ、だめえっ……ま、ま、まじで、こ、こわれるっ…………んっ………………んんんんんんんっ!!!」

 なんと、入った。
 義弟のアレは男体の驚異だけど……こっちは女体の神秘だ。

 しっかり義弟の舌技で蕩かされていたからだろうか?
 めちゃくちゃきつかったけど、わたしの入り口はその巨大な先端を受け入れていた。

「ね、義姉さんっ……せ、せまっ……や、ヤバいっ……」

「あっ……あああああっ……せ、狭いっ……って……あたりまえでしょっ! あっ……あんっ……ああああっ……あ・ん・た・の・が、異常なのっ! あっ……ああっ……あああんっ!!」

 入ってくる。その、でっかくてぶっといのが。
 わたしのなかを、めいっぱい満たしながら。

 義弟がどんどん入ってきて、わたしはそれを、なんとか受け入れている。

 すごい圧迫感だった。
 これから子どもを産むことになったら、今味わってる感じよりもっとスゴいのだろうか、とかアホなことを考えた。

「ね、姉さんっ!」

「あっ……あああんっ!」

 いきなり抱き起されて、ソファのうえで抱き合うような形……いわゆる対面座位のかたちで、義弟が動き出した。

 すごい。

 下からわたしの身体の奥にある終点が、ぐいぐい押し上げられる。

 眼がチカチカした。
 けだものみたいな声を出した。

 外が暗くなって、昼なら小さな庭と塀が見えるリビングの大きな窓が、窓鏡になっている。

 そこに、自分のおっぱいを戒めるように、爪を立てて掴みながら、のけぞって喘いでいるわたしが映っていた……

 そのままわたしたちはキスをしながら、激しく求めあった。

 義弟は想像どおり、すごい長持ちで、次はバックからヤられた。
 それから……まあいいや。いろんな体位でやったけど、説明はパス。

 義弟がイくまで……わたしは数えきれないくらい、頭がおかしくなるくらいイった。

 それか弟がどうなったかって?


 実はまだウチにいるのです……ってオチではない。
 

 翌日の朝、ほんとにウチを出て行って、それ以来もう何年も会っていない。
 もう二度と、会えないかもしれない。

 ま、いいけど。
 たまに、懐かしくはならないこともないけど。

 とにかく、ダンナにはぜんぜんバレなかった。
 よかった。

 よかったかな?

 打ち明けたらダンナがどんなほえ面かくか、見てみたい気もする。

<了>
 

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