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iDeCoに”法人税”!?

与党は今日16日、令和5年度税制改正大綱をまとめました。

以前紹介したNISA(少額投資非課税制度)の非課税期間の恒久化も正式了承されましたが、今回のメインはやはり”防衛増税”という、防衛費の財源を法人税・所得税・たばこ税で賄うとしたものです。今後も議論が続き、紆余曲折しそうです。

 そんななか、今回決定された税制改正大綱を見たとき、私は1つの懸念を抱きました。

来年3月で終了する「iDeCoの特別法人税凍結」は終了してしまうのか?
このままだと来年度から年金積立金に税金がかかってしまう・・・

iDeCoの税制優遇に隠れた”特別法人税”の存在

『えっ!?iDeCoに法人税かかっているの!?』
『非課税で運用できるんじゃないの!?』
そう思われた方も少ないかもしれません。

iDeCoとは「個人型確定拠出年金」といい、老後の安定した生活を目指すために、個人の掛け金で投資&運用し資産形成を図るための制度です。
iDeCoにはNISA同様、複数の税制優遇が用意されており、NISA以上に節税メリットがあります。

・掛け金は全額「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の対象となり、所得税&住民税が軽減される
・通常運用益に課される税金(税率20.315%)が非課税となる
・受給時に「退職所得控除」or「公的年金等控除」が受けられる

iDeCoにおける3つの税制優遇

このように多くの税制優遇がありますが、その裏で実はiDeCoには”特別法人税”が課されることとなっています。

特別法人税とは、厚生年金基金やDB(確定給付企業年金)・DC(企業型確定初出年金)といった企業年金の積立金に対して年1.173%の税率で課される法人税です。iDeCoも個人が掛け金を拠出していますが、確定拠出年金の1つとして課税対象となっています。

課税の根拠としては、企業が掛け金を拠出してもその時点では給付額が確定しないことから、実際の給付時まで課税を繰り延べていると解釈されます。繰り延べ期間にかかる遅延利息に相当する金額として特別法人税を課します。

例えば運用益含めたiDeCoの積立金が300万円ある場合、年3万5190円の特別法人税がかかることになります。これではせっかく運用で得た利益も一部税金で持っていかれてしまいます。

それでは現状はどのようになっているかというと、課税はされていません!
厳密にいうと、「課税を凍結している」状態となっています。

「租税特別措置法」という法律で1999年(平成11年)4月から特別法人税の凍結が始まっており、これまで何回も凍結期間が延長されています。現在は2023年(令和5年)3月末までの凍結期間となっています。(以下法的根拠)

法人税法第八十四条第一項に規定する退職年金業務等(同法附則第二十条第二項の規定により退職年金業務等とみなされる業務を含む。)を行う法人の平成十一年四月一日から令和五年三月三十一日までの間に開始する各事業年度の退職年金等積立金については、同法第七条又は第九条及び同法附則第二十条第一項の規定にかかわらず、退職年金等積立金に対する法人税を課さない。

租税特別措置法 第六十八条の五(退職年金等積立金に対する法人税の課税の停止)

そのため、来年3月末までにこの法律が改正されなければ、4月以降iDeCoを含む確定拠出年金を利用している利用者&企業全員に特別法人税が課されてしまいます!

老後の資産のためにも”凍結”ではなく”廃止”を!

この特別法人税の存在は、現在iDeCoや企業年金を運用している個人や企業にとってはリスクのある存在です。
各金融機関や財務省以外の各省庁も特別法人税については、廃止の論調や要望を出しています。

NISAの非課税期間を延ばしたように、せっかく今回の税制改正で投資に対する税優遇を強化したのに、特別法人税の凍結が解除されると「貯蓄から投資へ」の流れを止めてしまいます。投資への流れを加速させるためにも特別法人税の廃止を強く望みます!

追記

この記事を書こうと思っていたちょうど今日、以前申し込んでいたiDeCoの申し込み完了通知書&初回掛金引き落としのお知らせが届きました!

NISAと並行して今後の資産形成のために、高パフォーマンスの資産運用を目指していきます!

いつもご覧いただきありがとうございます。今後も皆さんの関心を引く記事を書いていきますので、よろしければサポートをよろしくお願いいたします!