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バスケットボールのアナリストとエンジニアによるデータツール開発をサポートした理由

先日Bリーグ公認アナリストでNBAの解説でも知られている佐々木クリスさんと、Bリーグのデータを様々な切り口で紹介している増田さんが共同で、NBA APIを活用したデータ取得ツールを開発した後、オープンソースで公開しました。

佐々木クリスさんのnoteで、NBAデータツールを開発するに至った経緯を書いて頂きました。

増田さんのブログにて、NBAデータツールの取得方法と使用方法を紹介して頂きました。

僕は今回はほとんど何もしておらず、佐々木クリスに増田さんをご紹介してから、あとは開発が順調に進むのを見守っていただけでした。ただ、今回の開発にあたって、僕が考えていたことは書き残しておこうと思います。

オープンなAPIを活用した事例を作りたかった

NBAは以前から「NBA STATS」というサイトを運営しており、サイトのAPIはオープンに公開されていました。

プラットフォーム側が公開しているAPIを活用して、新たなサービスを開発するというのは、Webに関わる仕事をしていると当たり前のことでして、特に意識することもないのですが、スポーツに関してはAPI公開すらあまり行われておらず、データの共有が行われているケースも多くありません。

特に「トップスポーツ」と呼ばれる、野球、サッカー、ラグビーといった競技ほど、データは「隠すもの」として扱っているように感じます。NBAのように、多くのファンに楽しんでもらうために、データを活用したサービスを開発してもらうために、APIを通じてデータを公開している団体もありますがまだまだ数は多くありません。

そして、日本ではAPIでデータを公開するという考えはもとより、オープンなデータを活用して、プレーへの理解を深めたり、新たなサービスを開発するという考えを持っている人は決して多くありません。一部のマニアの楽しみになっているような気がしているだけでなく、APIを活用した事例も多くありません。もっとオープンなデータを活用して、競技を楽しむ仕組みがあってもよいと思うし、データを活用した楽しみ方を知ってもらいたいと感じていました。

そんなことを考えていた時、佐々木クリスさんからご相談頂き、増田さんがご快諾頂いたことで、今回のツール開発が実現し、オープンなデータに多くの人が触れられる仕組みを提供できる機会を作ることができました。お二人にはとても感謝しております。改めてお礼申し上げます。

アナリストとエンジニアの共同作業という事例

このツール開発は「オープンなデータの活用」だけでなく、「アナリストとエンジニアの共同作業」という点でも、良き事例が作れたのではないかと思っています。

アナリストがデータを収集し、分析し、情報伝達を行う。この全てをアナリストが行うというのは、アナリストの負荷の増加につながります。アナリストが「眠れない」という問題は、スポーツアナリストという仕事が市民権を得る上で、どうにか解決しなければいけない課題です。

基本データの収集作業や分析のサポートを、テクノロジーの力で補えないかとも考えておりましたが、これまでエンジニアとアナリストが共同作業を行うという事例は、日本にはあまりありませんでした。今回のツール開発を機に、同様の事例が増えることを期待しております。また、エンジニアがアナリストをサポートすることで、取り扱えるデータ量の増加も期待できます。

データ分析にエンジニアが活躍できる領域を増やしたい

日本でも「スポーツ統計分科会」や「spoana」のように、データの分析にテクノロジーを活用しようと取り組んでいる事例が増えつつあります。少しずつ興味を持つエンジニアや研究者が増えつつありますが、チームやメディアや団体側に、システム要件を理解した上で、エンジニアに依頼できる人が少ないのが現状です。

ただ、事例が作られれば、一気に物事が進む可能性があります。今回の事例紹介を機に、スポーツの分析や発展のために、テクノロジーを活用しようという事例が増えることを期待しております。

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