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「雨の町、廃墟と野良犬、塀の上を歩く。ギリシャ人大学生が語ったグラフィティの背景」【ギリシャ2~3日目】/ヨーロッパ14カ国一ヶ月旅/第四話


1,イオアニナという町についた。

イオアニナ市はギリシャの北西部にある人口約12万人の都市で、人口は約12万人。パンヴォティサ湖という美しい湖のほとりにある、らしい。

https://www.city.ichinomiya.aichi.jp/

上記写真は「イオアニナ」とネットで調べて出てきた画像。
実際に歩いて出会った風景ハイライトは、以下。

雨。廃墟。灰色。
割れたガラス。野良犬。グラフィティ。
誰もいない史跡。人通りの少なく、閑散とした町並み。
まばらにオープンする飲食店。
圧倒的陰鬱、、、!


イオアニナ、ここはアルバニアに向かう経由地として寄った、小さな町。

正直、わかりやすい観光地や見どころがあるわけでもない、陰鬱な雰囲気と、完全にオフシーズンで人がまばらなことを理解できるくらいの寒さと悪天候(平均気温0度)に、テンションは落ちていく一方だった。
マジ、誰にも勧められない土地だ。と思った。

2,”でも、一つだけ訴えてえ。”

でも、ここで一つだけ訴えてえ。

ここは絶対にいいところだよと、見どころがあるんだよと評価されている場所。自らの払ったコストに対して、確実なリターンが保証されたような名所・スポット。そういうところばかりに行くのも、決して悪くはねえ。悪くはねえけど、それだけで、本当に自分だけの出会いが、自分だけの思い出が、自分だけの旅が出来んのかと、そう、物申してえ!

俺は、大勢のために大量生産された、小綺麗な代替可能な感動よりも、こぎたねえけど年季の入った俺だけの旅の栞を、俺自身の物語という名の本に、スッと挟みてえ!

じゃないと、いつかその本を読み返したときに、どこが俺だけのオリジナルで、どこにハイライトがあったのかってこと、ちゃんと思い出せなくなっちまうんだっつってんの!!!!!

ホテルチェックイン後、
イマジナリー・天竜川ナコンと共に、
上記のように自分自身を鼓舞しながら、周辺地域をあてもなく放浪。


ホテル近くにあったパン屋の小さなパンは、ギリシャ首都アテネで食べたパンよりも美味しかったこと。
その眼の前にあった小さな売店で瓶ビールを三本買ったあと、大雨の中路上でゴクゴク飲んでたら、手を滑らせて瓶を割ってしまい、すみませんと売店のお姉さんに目をやったら、ワハハと笑っていいのよと言ってくれたこと。
あまりにも見どころがなかったから、小さなカフェに入り、カプチーノを頼んでしばらく休憩していたら、外が寒すぎたせいで、暖房の効いた屋内に感動したこと。
なにかデカいイベントや出会いが起きてるわけでもないけど、なんだか楽しかった。

3,野良犬から逃げるように、雨で冠水した道の脇の、塀の上を歩く。


湖沿いを歩いていたら、廃墟があって、なんとなく中に入ってみたら、大型の野良犬二匹とエンカウント。噛まれたらどうしよう。と思いながらビクビクして通り過ぎて、安心したのもつかの間、その向こう側の道が雨で冠水してて、前に進めない。しかし後ろには野良犬。
どうしようか、と悩んだ結果、道を挟む「塀」によじのぼり、そこの上を歩いて、向こう側の国道まで歩いた。

どうして俺はこんな、誰に頼まれてるわけでもないのに、知らねえ町の知らねえ場所で、野良犬にビビりながら、大雨の中、逃げるように、生きるか死ぬかの瀬戸際みてえに、塀の上を歩いてるんだと、自分で自分の滑稽さに笑いながら、こういう、突拍子もないことをした先に発生するおかしさ、それ自体を自分は求めてる。それ自体を楽しんでる。つまりこれこそが、旅っすよね。

と自分自身に言い聞かせながら、塀の上を歩き抜けた先のスーパーにて、現地のお菓子や牛乳、パン、ヨーグルト、酒などを購入。アルバニア行きのバスターミナルでバスを待ちながら、チビチビとやる。

観光名所や史跡も歩いたけれど、こんなあてもない散歩と不思議な出会いの方が、なんだか記憶に色濃い。

ファッションのインスピレーションを得るためにはじめた旅だけど、ただただ、瞬間をやり過ごすのに精一杯な感じで、ファッション、なんて余裕が全然なかった。
こんな行き当たりばったりな旅の先で生まれるファッションってどんなもんなんだと、未来の自分が気になった。


4,ホテルで出会ったギリシャ人大学生が語る、この国のグラフィティの話。時々フランス人

パトラからイオアニナに到着した夜のドミトリーホテル(相部屋ホテル)には、ギリシャ人大学生と20代フランス人がいた。

フレンドリーな二人は色々と話しかけてくれた。
どこから来たの、どこへ行くの、こんな時期にこの町に来る人は珍しいねと。

次はアルバニアに行こうと思ってるんだ。と話したら、ギリシャ人大学生は「アルバニアは危ないからギリシャにずっといなよ」と言い、フランス人は「アルバニアは最高だよ」と言っていた。

不思議と、
「危ないよ〜」というギリシャ人の方は親身になってアルバニアへの行き方を探して教えてくれて(その合間にギリシャの好きな風景の写真を何度も見せながら)、「アルバニアにはいいよ〜」というフランス人は行き方を聞いてもごめんわからないなあと、自由気ままなノリだった

個人的感情としては反対しながらも、それとこれは別に、環境弱者を前にサポートしようと親身になってくれるムードの、ギリシャ人。

個人的感情としては賛同しながらも、それとこれは別に、旅のサポートまでは協力しないよ、そこからは各々だよねという、個人主義なムードの、フランス人。

これが国民性の違いや特徴か、と一瞬思ったけど、まだこの二人にしか会ってねえのに、何を判断できるんだよ、そういう、なんでもかんでも1から全体をジャッジする性格、やめていこうやと、「思うこと」をやめる。俺はまだ何も知ってない。

気になることを聞く。

空港からアテネ、そしてこの町も、ギリシャはそこら中にグラフィティがあるけど、それはなんで?アートの国なの?僕はそれぞれの絵がカッコいいと思ったよ。と。

彼は、アナーキーな表明だよ。俺は嫌いだよ。日本の方がきれいだし、俺は自然の方が好き。ここらへんの方が綺麗。と語った。
大学の中にもグラフィティがある。そこら中にある。何がいいかわかんない。と言って、繊細な日本画みたいな画像を、見せてくれた。

俺にとっては刺激的だったグラフィティとアテネと、
陰鬱さを感じるだけのイオアニナも、
視点を変えれば全然全く真逆な評価になるんだな、と思った。
自分にはまだまだ価値の軸や幅が少ない。
もっと知りたいなと思った。
俺は俺の知ってる解像度・視点で、この町を陰鬱に感じただけなんだ。
でもそれ自体も素直な俺のストーリーだから記録する。
そうすることでこそ、変化にも気付けるから。

彼はもっとここにいなよと近所の色々なオススメスポットを教えてくれたけど、刺激を求める気持ちに従って、次の国へ向かうことを決めた。

ギリシャからアルバニアまで向かうルートやバスの時刻表は、Google Mapでは見つからなくて、ネットで調べても出てこなくて、大学生の彼が調べてくれたギリシャ語表記の時刻表でようやく、見つけられた。

あとで知ったけれど、いわゆるフランス・イタリア・スイスといった有名なヨーロッパ(シェンゲン協定国)は国と国の移動に入国審査もなければ、使える通貨も同じなため、移動手段もスムーズだしオンラインで調べられる情報ばかりだけど、シェンゲン協定国から外れるような東ヨーロッパ各国は、隣接するそれぞれの国で通貨も常識も治安も建物の雰囲気もガッツリ変わる。そのため、国境間を陸路でつなげるようなバスは、基本的にローカル運営なバスらしく、運行状況が変動することから、オンラインに情報が出づらかったり、今日の情報は手に入らなかったりするってこと、らしかった。

そんなこんなで、右往左往して辿り着いたバスターミナルにて、
アルバニア行きのバスチケットが手に入った。
石の街と呼ばれる、ジロカスターって街を目指して。
夜の山道をバスが走る。


nisai 松田直己


以下
イオアニナのおまけ写真たち

すべてのごはんが量が多すぎる
どういうセンス
野犬から逃げるために渡ったカイジみてえな塀{ブレイブ・メン・ロード}
ゴミ

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