おいしいもの 8月
by noriko
夏の土用の丑の日には「う」のつく食べ物を食べるとよいとされ、鰻を食べるのが慣わしとなっているが、それほど年中行事を忠実に守るというわけでもなく、我が家にとっては高価な食べ物であり、しかも今年は二度あるという。
亡くなった父は大変鰻好きで、土用とは限らず食していたので、お供養と称して土用の丑の日ぐらいはぜいたくさせて頂くとしても、二度目はない、と思っていた。ところが……。
普段の買い物のつもりでスーパーの中をぷらぷら歩いていると、ふと目に留まったものが。
「常陸牛」が半額、しかも牛の「う」。
常陸牛とは茨城県のブランド牛で、これも父の大好物だった。
そこにあったのはサシの入ったステーキ肉ではなく、もも肉の塊だったのだが、逆にそれが丁度よく思えた。
こちら側は、父のように上等なお肉を受けつける頑丈な胃袋ではない。そんなに網目が入らなくったって……負け惜しみ半分で、もも肉のパックを手に取ったまま、目線はお肉とカゴを行ったり来たりの数秒間。半額とはいえ、それなりのお値段はするのだ。
エイッと結局カゴの中に吸い込まれていった。
せっかくだからおいしく料理したいけど、レストランのような料理の腕は持ち合わせていない。多めの塩・こしょうでローストビーフに焼き上げた。もも肉ながら、ほどよい脂身が肉質をやわらかくし、手間をかけたわけではないのに、ごちそうに変身してくれた。流石、素材の力。
食べきれずに残った肉は、次の日スライスしてソテーし、焼き肉丼に生まれ変わった。これも美味。
「う」のつく食べ物って素敵だ。もちろん、うどん・梅干し・瓜……皆おいしい。
食べて、感謝して、元気に夏を乗り越えたい。
by reiko
ここ数年、なんだかいいサンマに出会えない。値が高いわりに、身は細いな……とスーパーで見かけても素通りしてしまう。どうしても食べたければ、思い切って買えばいいのだけれど、(う~ん。この金額でこの感じかぁ~)という、あのなんともいえない、どよんとした感覚に考えるのが億劫になり、食べ逃してしまう。
そんな折、特に旬ではない春の季節にサンマを見かけた。
場所は家の近くのコンビニだ。
セイコーマートといえば北海道のコンビニという印象だが、茨城県にも90店舗近くある。アットホームな接客が田舎に馴染んでいて、私的には、他のコンビニチェーンよりも身近な存在という感じがする。
とにかく近いのでしょっちゅう利用しているのだけれど、毎度見る場所・買う物はおおよそ決まっていて、一定のルートを巡回して、店を出るのが常だった。けれど、その時は何を思ったのか、いつもは覗かない冷凍ケースの中を覗いた。調理済みの冷凍食品の他に、凍った肉や魚があった。そこにサンマのパックも、ドサッと入っていたのである。
2尾入って200円。安い。
安いし、冷凍されている事を考慮しても、身のつき方が、これはけっこう良いのではなかろうか。
しばし迷って、美味しかったらラッキーという気持ちで、その冷凍サンマをレジに持って行った。
焼いて食べてみると、脂がのっているという生のフレッシュさはないものの、しっかり身がついており、サンマの味を堪能できる代物だった。おいしいおいしいとご機嫌で味わう。
食べ逃していた分、渇望していたのだろう。その後、くりかえし購入して、満足いくまでサンマを食べた。
北海道のコンビニが身近にあり、北海道産のサンマがササッと気軽に買えるありがたみを感じ入った。
そうこうする内に、またサンマの季節がやってくる。
今年は水揚げ量が多いようだというニュースを見た。となれば、生のおいしいサンマも食べたい。サンマ欲は尽きることなし。
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