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おいしいもの 9月

by noriko


 今年もまた栗の季節がやってきた。
 ここ五、六年だろうか、私の年中行事のひとつに加わった栗仕事。栗を使った料理は多々あるが、あえて「栗ジャム」ひとつに絞っている。理由は簡単に出来て、しかもおいしく、そして何より栗の皮剥きをしなくていいからだ。
 毎年店頭で栗を見つけては、今年も作ってみようとワクワクする。
 材料もほぼ栗と砂糖だけなので、買った勢いですぐに作れて、完成し、食べられる。ワクワクが途切れることなく終了するというところが気に入っている。
 ジャムといっても「あんこ」に近い。だからこそ、さまざまな使い方ができ、夢広がっていく。そのままパンに塗るのはもちろんだが、焼き菓子作りの材料としても、パフェに乗せても……。次は何に使おうかと思案しているうち一瓶、又一瓶となくなっていく。

 栗といえば、子供の頃は栗ごはんが楽しみだった。昨今の栗ジャムを作るときと同じように、毎年ごはんに栗が入っているとそれだけで、ワクワクしていたように思う。
 その頃を思い返すと、店先に並んでいたものではなく、近くの雑木林の栗の木が落とした実をごはんに炊き込んでくれていた母の姿がある。子供たちが拾い集めた小さな山栗を剥くのは、さぞかし手間がかかった事だろう。感謝はつきない。

 栗は縄文時代から好んで食べられていたらしい。遠い記憶を呼び覚ましてくれるツールなのかもしれない。忘れてはいけない食べもの。

 毎年、作ったらすぐになくなってしまうからと、少しずつ作る量が増えていく栗ジャム。
 子供の頃を思い出して、ごはんに炊き込んでみればいいのに、そういうこともせず、ひたすら茹で栗の中身を掻き出していく。
 そして鍋から飛び出す熱い餡と戦いながら練り上げれば、お正月の栗きんとんにもなりうるものが、出来上がるのである。



by reiko


 メヒコというシーフードレストランがある。
 店の真ん中でフラミンゴが飼育されており、客席から中庭を眺めるようにして、ガラス張りの窓越しにピンク色の鳥たちを見ながら食事が出来る。
 入店してみる前は、食事処に鳥がいるという脳内イメージで尻込みしていたのだが、ガラスが分厚いのか、匂いはもちろんのこと、羽音や鳴き声も気にならず、料理が出てくるのを待ちながらフラミンゴたちの様子を観察できて、楽しいお店である。今回行った際には、まだ羽根がピンクになっていない、灰色の子どもフラミンゴが二羽いて、可愛らしかった。

 客席と客席の間隔が広々としていて、お客さんが沢山入っていても、混んでいる感じがしないところも、私が気に入っているポイントだ。周りの様子を気にせず、食事を楽しめる。

 シーフードレストランということで、エビやカニを筆頭に、牡蠣・ウニなどを使った料理が食べられる。かと思えば、ステーキ・ハンバーグ・牛タンシチューなどもあるから侮れない。ちょうど今はウニフェアをやっていて、ウニソースのサーロインステーキなるものまであった。すごい。濃ゆい料理だ。

 メヒコのメニューを目の前にすると、私は混乱する。
 ごちそうドーン! ごちそうドーン! ごちそうドーン! はい、どれにしますか!
 と、カニやエビなどの贅沢パワーが迫りくる感じがするからだ。そして(良い意味で)コワイことに、注文するとごちそうがやってくるのである。メニューの写真だけ豪勢だったね……などということはない。見せかけではないのだ。

 今回はガーリックシュリンプにヒラツメガニの唐揚げ、うにピラフ・パエリアなどを頼んだ。

 ウニピラフは、ウニがたっぷり。お米全体がとってもウニの味である。口に入れた瞬間、ウニ~~~‼ となる。一方、魚介のパエリアも魚介のエキスしみすぎ〜! な濃厚なお味であった。身の大きいエビとムール貝もどん! どん! と乗っている。
 とにかく量と味がしっかりしているのだ。オードブルの小さなカニの唐揚げ一皿ですら、この値段でこんなに盛ってくれるの? うれしい! となる。

 きっとそんなところが、繁盛している秘訣なんだろう。お店の駐車場はいつも車がいっぱいだ。
 満足満足。お腹いっぱい。ごちそうさまでした! 


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