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スターまる 第1話 作品解説(一気読み)

 第2話と第3話の解説記事に「スキ」をいただくことが多い。
 カラー原稿を12ページまるごと掲載するため、画像を軽めにしているとは言え、一気読みできるのがいいのかもしれない。
 なので、雑多に制作裏話をまとめていた、第1 話の作品解説を「制作前夜」とし、あらためて第1話も通しで読めるように置いておくことにする。

制作までの裏話、「旧:スターまる第1話作品解説」はこちら

ページ1:はじめのページにかけるエネルギー

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 ロケット発射時のエネルギー消費量が、実際の航行時のエネルギー消費量を遥かに凌ぐというけれど、第1話、第1ページめを描くために考える、試行錯誤する時間に、2週間くらいかかった。
 画像ソフト(CLIP STUDIO PAINT)に慣れてなかったという理由も大きいけれど、あらかじめ用意しておいたスマホ画面や、木星の試し描きが、厚塗り過ぎたりして、理想としている作品のトーンに近づけるためにとても苦労した。
 未来感・SF風味を出すためにスマホを登場させた。1999年にスマホはない・・・1999年のわたしは、スマホが生活に密着している今の生活は、文字通りSFの世界だと思っていたはずだ。笑

ページ2:「資料集め」を学ぶ

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物語の舞台背景を説明するために、「宇宙」から「学校」から、「小学生」まで、振り幅の広い資料を沢山探さなければなからなった。しかし、あくまで背景なので、「学校描いてやったぜ!どうだ!」みたいな気合いを見せつけるものでもない・・・という抜きのバランス感覚が新鮮で楽しかった。

星が地球に落ちてしまった理由が、ながらスマホというのも、程よい適当加減で気に入っている。

ページ3:星は甘くて苦い

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「スターまる」では星は天使的な存在である。星を飲み込んだら「甘くて苦い味」と表現したのも、聖書からの発想である。知恵や神様の言葉の麗しさは甘いと表現されるが、それに献身するには厳しさ(苦さ)も伴う。


私はその御使いのところに行き、「私にその小さな巻物を下さい」と言った。すると彼は言った。「それを取って食べてしまいなさい。それはあなたの腹には苦いが、あなたの口には蜜のように甘い。」
そこで、私はその小さな巻物を御使いの手から受け取って食べた。口には蜜のように甘かったが、それを食べてしまうと、私の腹は苦くなった。
聖書 新改訳2017

ページ4:作品のトーンを定める

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星は楽観的な性格で、気分次第で自分の内側に沈んでいく少女と対になっている。星と少女が出会うと、化学反応で世界がコミカルに動きだす。

ページ5:出会い

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二人が出会ったときに必要以上のアクションが起こる、というのは、はじめにはない発想だったけれど、このエピソードによって、以降の物語を動かしやすくなった。反目し合う二人が徐々に打ち解けていくというより、根本的には、二人は関係性を作り上げることに対して肯定的であることを予感さている。

ページ6:伏線を織り込んでいく

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ちょっとした発言やシーンに、その後の物語の展開を助ける伏線を織り込むことができるという発見があった。ここで言うなら、星は水の中では本来の力が出せない(2コマめ)とか、星が光の存在であることを演出の中で利用する(4コマめ)、ベタなマンガ表現で緊張感を抜く(6コマめ)など

ページ7:少女の本質にクローズアップしていく

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 マンガには「ページの切り替わりを利用して引きを作る」という常套手段があるが、ページ7は、ページ8に向けて露骨に引きを作ってみた。
 水を描くための資料を見ていると、水中から撮った写真で、首から上が水面に上がっていて切れている、という印象的なものがあり、それを描いてみた。しかし水の動きを描くのって難しい・・・ずっと慣れそうにない。

ページ8:同情をかう

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1コマめの少女は妖しいくらい思い切り可愛く描くつもりでいた。でも、ふと、心が完全に健全な星が、彼女を見たときはどう映るのだろう?と視点を切り替えてみた。少女としての弱さに対し、自分のかなしみに酔っているという意味では、哀れさを通り越して卑しくも見えるのではないかと感じた。だから、はじめの想定よりも色褪せた雰囲気と、知り合いたての二人の距離感が出せるように、ちょっと引いた視点を採用した。

ページ9:与えられていない情報を盛り込まない

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この時点で、星は少女の心の中に対して知っていることは多く無い。この時点での彼にできること、彼の興味に従って動いている。ということを想定しながら描いた。

ページ10:とはいえ、憐れみがないわけではない

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星にある気持ちは「無関心」ではなく、人の中にあるかなしみの片鱗を覗いてしまった衝撃である、ということを描いて第1 話を締めくくった。

聖なる存在である星は、神様によって創造された世界と、自分自身への愛の自覚がある事に対し、人間という、生まれたままの心のありさまでは世界と自分自身が存在していることをよろこべない存在が、実際に目の前に現れたことに対して動揺を覚えたのである。

[ヨハネの福音書 11:33〜35]
イエスは、彼女が泣き、一緒に来たユダヤ人たちも泣いているのをご覧になった。そして、霊に憤りを覚え、心を騒がせて、
「彼をどこに置きましたか」と言われた。彼らはイエスに「主よ、来てご覧ください」と言った。
イエスは涙を流された。
聖書 新改訳2017
[へブル人への手紙 4:15,16]
私たちの大祭司は、私たちの弱さに同情できない方ではありません。罪は犯しませんでしたが、すべての点において、私たちと同じように試みにあわれたのです。
ですから私たちは、あわれみを受け、また恵みをいただいて、折にかなった助けを受けるために、大胆に恵みの御座に近づこうではありませんか。
聖書 新改訳2017



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