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東日本大震災・原子力災害伝承館

10/24、25と2日に渡って東日本大震災・原子力災害伝承館を訪問。その様子をアップします。

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伝承館。

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産業交流センター。

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産業交流センター内、せんだん亭のつけ汁付きなみえ焼きそば。

伝承館から見える風景↓

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この緑のシートの下に何があるのか、わかる人はどれほどだろうか。

放射性廃棄物をバックに子供が走り抜ける姿は、シュールを通り越して「狂気」だ。

伝承館のすぐ近くには、今も津波の傷跡が残されている。同行した双葉の方2人は、ペシャンコに潰れた車が誰のものかすぐにわかった。

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この伝承館は、伝承すべきものを完全に見誤っている。

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撮影禁止と入り口に書かれてはいるが、広島の平和記念資料館は撮影可能だし、なぜ禁止にするか理解出来ないので気にせず撮りまくった。注意されればやめればいいと思ったが、職員から注意されることはなかった。後日確認したところでは、職員の間でも撮影禁止措置に対する不満は出ているらしく、もしかするとそんな職員が撮影している僕を見逃してくれたのかもしれない。

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最初にこの空間で説明を受け、5分ほどの映像をまずは見せられる。

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映像が終了した後、らせん状のスロープを歩き、原発建設から事故後の経緯までを見せられる。

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ここから中へ。

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「現在保管施設で保存されてます」

これは嘘。台座は役場の脇の空き地に放置。

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(「突然の別れ」はなぜ起きたのか?)

伝承館の構成は、

『地震が起き、津波が襲い、原発事故が起きた。放射性物質が放出され、周辺住民は避難した。それから刻は過ぎ、避難者は37000人まで減った。事故後の影響としては、甲状腺癌多発は事故との因果関係はなく、原発事故による健康被害は確認されず、それよりも避難のストレスによる健康被害が深刻。避難指示解除された場所の線量は低下し問題はない。廃炉はまだ道半ばだが、放射能に関する不安はなくなり、今は風評の払拭だけが問題になっている。』

大雑把にいうとこんなもの。

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非常に腹立たしい。地震、津波、原発事故、複合災害であることを伝えてはいるが、原発事故も自然災害であるかのように扱っている。「東京電力」という名前は出てくるが、その責任については一切触れていない。事故前、原発が地域の発展に貢献し、浜通りと原発が共に歩んできたことばかりを強調している。地震や津波、そして原発事故の緊迫感は全く伝わらない。事故後の影響については徹底的に過小評価し、自主避難者については一切触れていない。はっきり言って「避難者差別」「避難者イジメ」を煽る内容とさえ言える。健康被害云々については、完全に政府のプロパガンダだ。広島の平和記念資料館でさえ「放射能による遺伝的影響については今もわかっていない」と書いているのに、広島原爆を圧倒的に上回る放射性物質が放出された原発事故で「健康影響はない」と断言している。

1日目、その点について職員に質問した。

「館長の考えかもしれないが、そういうことを伝承館に招いた団体の前で話し、しかも同じものをビデオで流している。ここはそんなプロパガンダをする場所なのか。伝承館としてふさわしい内容とは思えない」

質問された職員は返答に困り、「何とも言えません」としか答えられない。この職員さんも元々は大熊町の住民で、複雑な思いがあるのかもしれない。これ以上詰問しても仕方ない。「館長に伝えてください」と話してそこは収めた。

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ハイ出ました、「風評」。

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2日目は、語り部の話を聞いた後に男性の職員から同行した4人で話を聞いた。その職員も、壊れた原発からわずか4kmのところに伝承館があることは率直に怖いという。しかし、福島市や郡山市に作ってもリアリティはない。国や県が双葉に作ると決めた。双葉だと線量が低い場所はここしかなかった、という。しかし双葉はまだ誰も住めない場所だ。この男性も含め、職員は全員違う町から通っている。今年3月、マスコミが「避難指示解除」と言い立てたおかげで、双葉駅前に人が住んでいると本気で思ってる人がいる。このままでは「まだ避難してるの?」といった避難者バッシングに繋がりかねない。「双葉町にはまだ住めません」そのことを、伝承館の出口のそばで説明、或いは掲示してほしいと皆で伝えた。

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こらこら、お前らの利権争いなんか興味ないんだよ

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ドローンと原発事故と何の関係があるんだ。

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廃炉なんか出来るわけがない。

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ダークツーリズムをホープツーリズムと言い換え、復興住宅を見に行ったところで得られるものはわずかだ。10年近く放置された家を見る方が、よっぽど今後の学びになる。

現状の伝承館は、国が作り、県(外郭団体であるイノベーションコースト構想推進機構)が運営するプロパガンダ施設でしかない。こんな施設に1ヶ月で1万人以上も訪れてしまった。原発事故について間違った認識がどんどん広がっていく。

救いなのは、語り部はもちろんだが、現場職員にも地元の人が多いということだと思う。実際に事故による避難を体験した人たちが声をあげ提言して、少しでもこの施設が「プロパガンダ館」から本当の「伝承館」になるように願う。

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語り部については、先日SNSにアップした文章を下に記しておきます(多少加筆、訂正あり)。

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24日、語り部の話を聞くために伝承館再訪。小学生と思われる子供たちが多数来訪していることに大きな違和感を持った。

 語り部が話す部屋は、口演が始まると締め切られてしまう。しかしガラス張りの部屋の入口のそばに座っていた職員がこちらに気付き、僕らは少し遅れて部屋に入ることができた。

 僕らが中に入ると、監視のように座っていた職員は外に出て行った。語り部の方は、見るからに緊張した様子で、しきりに腕時計を見ながら話していたのが印象的だった。途中話が急に飛ぶのが特徴で、無理やり短くしている印象を持った。

 話の大半は地震と津波の話で、「原子力災害伝承館」なのに、と思ったが、他の人があまり話さないので、ということだった。特に拍手もなく「え、もう?」といった感じで話は終了、質疑応答では同行した双葉町のUさん1人だけ質問をし、そこで解散となる。

 その後、一緒に行った4人で語り部の方と取材のような立ち話。そこでは、大野駅周辺の家が解体されないのは建物があまりにも汚染されていて壊せないのではないか、など驚くような話がいくつか飛び出し、僕は「そういう話をみんなの前で話してほしい」と伝えた。

 「これは私が感じていることで、事実かはわかりませんので」その方はそう答えたが、語り部はジャーナリストではない。自分が直接体験し感じたことを話すのに、いちいち裏を取る必要があるのだろうか。

 終了後の立ち話では率直な話が聞け、非常に緊張していた口演とは全く印象が変わった。同じ地元の人と話せたということもあるのかもしれない。自分で希望して始めた語り部なのに、ここまで緊張してしまうのは何故なのだろう。

 語り部の方と立ち話をしている最中、イヤホンをつけた職員が入ってきてこちらの様子を伺っていた。立ち話を終えて僕らが外に出ると、語り部と2人で話しながらPCを操作していた。少し間を置いて口演をする部屋に戻ると、PCの隣には台本があった。

 話す内容を事前に添削されチェックされている。口演終了後に入ってきた職員のイヤホンにも違和感を持った。別の職員は、語り部希望者は研修を受けてからと話すが、その研修により語り部が自由に話せないとすれば、これほど不幸なことがあるだろうか。

 「こんなことがあったんです」ということは話すが、自分がどう感じたかはあまり話さない。時間を気にして、点で話すが線につながらない。話す内容が事前に添削され台本として用意されている。おそらくだが音声で中の様子をモニタリングしている。

 自分が望んで語り部になったのに、素直に話せないもどかしさはどれほどだろう、僕は同情を覚えた。一緒に行ったUさんも「あれじゃ可哀想だよね」と言い、もう1人の双葉の方は非常に憤っていた。その後、別の職員を質問攻めにしてしまったのは言うまでもない。

 勿論、職員も地元の方が多い。そういうこともあって、決して詰問するようなことはなく、もっとここをこういう風にした方がいいんじゃないか、そんな提案が続いた。伝承館のあり方に疑問を抱く職員の方もいる。これから改善されていくことを強く望む。

 全国から中高生が修学旅行で訪れ、小学生も多く訪れているというが、現状の伝承館は政府のプロパガンダ施設と化している。「イノベーションコースト構想推進機構」が運営しているのだから、推して知るべしか。今ここを見る価値はない。

 成人した人は直接現地を歩き、子供は体験者の話を会議室で聞く方がよっぽど伝承になる。53億もかけてこんなハコ物を作らずとも伝承できることは山ほどある。

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語り部はこの部屋の中で話す。始まったら職員が気付かない限り中には入れない。まるで語り部の話を聞いて欲しくないかのようだ。

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<終わり>










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