【証言と一致する汚染状況】
先週、9月21日(土)に行われた、今年5回目の「双葉の会」では、「パレスチナからフクシマへ」(土井敏邦監督)の上映と、昨年12月に井戸川さんが旧双葉町役場とヘルスケアーふたばを訪れた際に堀切さとみさんが撮影したビデオが公開された。
井戸川さんのビデオで興味深かったのは、3月12日の14時頃、1号機が爆発する1時間半ほど前、役場のちょうど1Fの方向の窓際に立っていた井戸川さんの線量計が振り切れたというところ。おそらくベントが行われたと思われる時間。それを受けて井戸川さんは職員に退避命令を出し、本人は谷沢町のヘルスケアーふたばへと移動する。そこで避難誘導を手伝っていた際、1号機が爆発した。
井戸川さんの証言の通り、1Fから役場〜谷沢町〜長塚観音堂〜寺内迫は今も線量が高く、ベントのあとに放射性プルームが通り抜けたと思われる。2020年に僕が歩いた際は、5.0μSv/hを超える汚染があった(寺内迫には2024年の今もそれくらい汚染された場所がある)。その先の鴻草地区〜浪江町酒井は帰還困難区域だ。井戸川さんの証言と汚染状況が見事に一致する。
http://www.labornetjp.org/news/2024/0918saiban01
上記記事の中で「全身の体毛が抜けた」という副町長の井上さんは、ヘリを待っていた双葉高校の校庭で1号機の爆発を見たというが、双葉高校の先には最も汚染の酷い帰還困難区域のうちの一つ、山田地区がある。証言と合わせると、放射性プルームが1号機の爆発後に双葉高校から山田地区へ抜けたことがわかる。これも、汚染状況と証言が一致する。
福島第一原発事故はチェルノブイリよりも圧倒的に放出された放射性物質が少なかった、とまことしやかに言われるが、それはあくまでも推定にすぎない。今の現場の汚染状況と当事者の証言をすり合わせるだけでも、意外と実相が見えてくるのかもしれない。
サポートしていただけると大変ありがたいです。いただいたサポートは今後の取材活動や制作活動等に使わせていただきます。よろしくお願いします!