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5月11、12日の双葉、大熊、富岡取材を終えて-4 『“帰還”困難区域です』


時事通信の記事に添付されていた図。

 2023年11月30日、「富岡町の小良ヶ浜地区の避難指示が解除」という報道がありました。しかし実際は、6つの墓地や公民館といった拠点と、そこに至る道が解除されただけでした。時事通信に掲載されたそのネット記事に添付されていた図の中で、「帰宅困難区域」という表現がありました。これはよくある間違いで、実際は「帰還困難区域」です。「帰宅」ではなく「帰還」。

 一般の人がそうした間違いをするのは止むを得ないのですが、報道機関がなんて間違いをと思っていたら、今回歩いてみてなるほどと思ったことがありました。

 上の図の「帰宅困難区域」と書かれているところの、「難」の下の点の部分は、小良ヶ浜共同墓地です。一体どの程度の空間線量なのか、確かめてみたいと思い、5/12に行ってきました。

フレコンバッグ表面に書かれた線量の数値を見るだけでも、この場所の汚染が酷いことがわかる。

 山の中ということもあり、やはりどこも非常に高線量で、1.2〜4.0μSv/hはありました。中には5.0μSv/h以上のホットスポットも。ここを自由通行なんて狂気の沙汰と思いますが、この国はずっとこのような形でなし崩しでやって来たので、救いようがありません。

共同墓地が木の合間から見える。

 共同墓地の周囲の森はロープが張られ立入禁止の札があったのですが、そこには「帰宅困難区域のため立入禁止」と書かれてました。

 これは明白な間違いです。本来は「帰還困難区域」。時事通信の、「帰宅困難区域」という間違いの元は、このロープに張られた札でしょう。ゼネコンのこの地域にあまり詳しくない社員がテキトーに作ったものを、あまり詳しくない時事通信の記者が記事にした。そんな流れが想像出来ます。

 ゼネコンや報道機関のテキトーな仕事ぶりに呆れるあまり、思わず「いい加減にしろよ!」と一人で声を上げてしまった。ここはいろんな人たちの多くの無念が残って集まっている土地です。それを間違えるなんて、どんだけいい加減な仕事をしてるんですか。もっと真剣にやれと言いたい。

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