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詩まとめ

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日本紳士録のポエム
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2019年2月の記事一覧

夏の呼び声

夏が呼んでるらしい 季節にも重力が働くみたいだ 寒がりな高校生が夏の予定を話すのって面白い…

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不定形の女

水辺の草むらに 女の死体が 虹色に 辱しめられている 草むらだから こういうこともあるのだと…

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目と鼻と月

目と鼻と月の 影が ロビーに連続して 隊列のように 怒声 鳴り響くから意識を 閉じて 嵐の後の…

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ゲーム的人生ゲーム

私が死んでいる 世界を見つめるのは 死んでいない私だ 私は鈍摩した精神でずっと 死んでいる私…

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ニヒリズムの枯れ

自殺者の心奥にある どろどろにとけた幸福が 陽気な夜を呼び寄せたのは 楽しいねって笑う親子…

恍惚な悪夢

骨の天使が 異様に発達した肩甲骨を羽ばたかせながら 僕に近づき その鋭い指で僕の眼をくりぬ…

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比喩としての肉体

空隙のある肉体にうまれ それが満ちることのない 様は わたしの思想が現実を侵しはじめている 証左ではないかと 夕日に染まるベランダで思う わたしは 履き古したサンダルでもあり 磨き抜いたグラスでもあるのだ

意味の概念

失うことを恐れて 掌で覆った それは徐々にちいさくなり 最後はくろい一点の粒になった 概念 …

終末モノローグ

かなしいとか つらいとか ということは 意外に 重い鬱のなかでは思わなくて ただ どんどんどん…

終わる宇宙の中で

あの、青と赤の混じる空を きみは知っているか 百三十七億年の光の歪曲 抑うつの恐竜の死 すべ…

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虚海の光

青色のうねうねがある 毎年訪れる小さな市民プールの水は特別カルキ臭くて 潜る度に鼻の奥が…

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歩く思念たち

林檎。存在している。カラス。存在している。紙幣。存在している。ごみ袋。存在している。アパ…

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超越人称の遊び

それは汚れた布だった 語られることのないもの 語り手のいない、世界の空白 それは風に吹かれ…

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空白=世界の定義

漂う言葉は反響しない それは僕には届かない 見渡すほどの白い空間 ここでは意味ありげな現実さえ脆いのだ なんて幸いだろう なんて停滞だろう なんて無意味だろう 無意味であることに救いを見い出した幼児たちが、愛想笑いを浮かべながら手を伸ばしている こちらへ、こちらへと 生だ