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田舎は足りていた。

昨日、今日と、奥さんとひさしぶりの旅行に出かけた。
福岡から大分の田舎まで車で2時間ちょっと。

現地に着くと「山だなあ」と思った。
でも、あんまり驚きや感動はなかった。
いま住んでいる那珂川市南畑が山だらけだからだ。

いい感じにひなびた旅館に着くと、スタッフさんとワンちゃんに迎えてもらって、アツアツの温泉に足首がかゆくなるくらい入って、懐石料理を腹がはちきれんばかりに食べて、苦しくなってふとんでゴロゴロして。

そんなことをしていたのだけれど、奥さんと二人で思ったのは「田舎は足りている」ということだった。

「たぶん都会に住んでいて、今日の旅館に行ったらもっと感動したんだろうね」

そんなふうに思って、朝を迎えた。ちらちらと初雪が舞っていた。

ふたたび2時間ほど高速を飛ばして帰ってくると、南畑っていいなあと思った。旅行先の山よりもずっといい。いつのまにかこの景色が好きになっていたんだなあと思った。

家のまわりでもできる体験を、わざわざ遠くまで行ってしてしまったことに奥さんはちょっと悔しそうだったけれど、僕はなかなかよかったんじゃないかと思っている。苦手だった車の運転も克服した感があるし、なによりいま住んでいるところがどんなにいいか再認識できたからね。

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