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ゴールドの輝きは失われる 〜金と軍事力の関係〜

金は、歴史的には、ドル通貨の価値が下がり、価値を上げてきました。

この事実は、誰も同意していただくことでしょう。

この根源的な論拠に基づいて、「金はこれからも輝き続けるのか」について考察します。

今後の金の行方を決定づける変化に、BRICSの金・コモディティー・リンク通貨があります。

この通貨は、「金を通貨とする」的な意味に、世間では勘違いされています。

実態は、金はコモディティーとのバスケットの一部という位置付けにすぎません。

1971年の、米国の金本位制からの離脱により、長年に渡り、金は基軸通貨で無くなっていました。

その頃から、金とドルの関係が、金の価値をドル通貨で計ることになったのです。

中央銀行の発行する通貨は、ある意味無限に発行可能です。

実は、金も石油と同様に、ほぼ無限に採掘可能ですが、「コストと見合うか」という意味で、金は有限であるとされています。

BRICS主導の新通貨も、金本位でないのは、「有限である」という前提があるからです。

石油・銀・鉱物などと同等の価値となってしまったとも言えます。

金本位制に戻ることはないので、金の価値の低下です。

アクセサリーとしての価値は、変わらないでしょうが、通貨としては一部の機能(価値)となったのです。

金のアクセサリーが重宝された理由は、金本位時代に「資産=通貨」として身につけ、戦争下では国が消滅しても、資産を保全出来る手段だったからです。

この点で、デジタルゴールドのビットコインは、資産保全に優れていると考えられます。

ここで視点を大きく変えて、世界の「金融支配」の観点から考えてみます。

300年前の資本主義が誕生してから、始まりは英国による世界金融の支配でした。

かつては、「大英帝国」として世界の4分の1を支配していたのです。

ポンドが世界の基軸通貨であり、英国王室の資産保全のためのタックスヘブンの誕生から、現在100箇所のタックスヘブンが存在します。

世界の金融の中心は、英国系ロスチャイルド家中心であり、世界の中央銀行の支配で完成されました。

その英国の凋落が、第一次世界大戦で明確となり、急速に米国によりドルによる金融支配に急速に転換したのです。

英国の凋落の理由は、米国の軍事力の急速な増強(世界一)によるものです。

つまり、基軸通貨というのは、軍事力に裏付けられることで、その価値が守られるのです。

オイルダラーの本質も、産油国の集中する、中東での米国の軍事プレゼンスが強大だったからです。

BRICSによる新通貨には、軍事的な裏付けがない。

GDP世界第2位の中国も、軍事力は米国にははるかに及びません。

従って、元(通貨)は基軸通貨にならないのです。

しかしながら、その中国の経済的な台頭が、将来の世界の軍事バランスを劇的に変えています。

現在、中国の経済は大凋落をしており、インドの台頭(世界5位)もあり、米国を超える軍事力を作り上げることは不可能でしょう。

米国が中東から軍事力を撤退したひとつの理由は、シェールオイル技術の進化により、世界中から石油が採掘可能になったからです。

中南米、ロシアなど、産油国は急増しています。

米国は、世界一の産油国となれるのですが、自国の利益を優先して、石油は海外から調達し温存しています。

つまり、世界の石油供給は分散化しており、中東(OPEC)一極に頼る必要は無くなったのです。

OPECと非OPECの産油量は、ほぼ同量となっっています。

さらに、SWIFTからの排除やドル預金の凍結などが、新興国の大きなリスクであることは、今回のウクライナ戦争でも明らかになっております。

これが、米国オイルダラーの終焉の真相です。

当然、軍事的に見放され、王制維持(独裁国家)を維持したい中東諸国の焦りは拡大しています。

サウジとイランの歴史的和解は、中国の力ではなく、中東諸国の政治的あるいは経済的不安定化による、強い危機感によるものです。

そうした時流が、BRICS +中東(グローバルサウス)の新通貨を誕生させたのです。

この通貨で、コモディティーの一部となり、金=通貨となり、金は格下げされました。

基軸通貨ドルの価値の低下が、金の価値の上昇でした。

金が第2の基軸通貨(一部)となり通貨として返り咲くなら、ドルの価値低下と同じ道を歩むでしょう。

なおかつ、ポンド・米ドルの世界の基軸通貨として、300年間守ってきた金融支配権を、英米中心の欧米諸国が簡単に手放すとは思えません。

ユーロ(通貨)も、NATOという軍事同盟で価値を維持しているのです。

NATOには、米国も深く関与しています。

つまり、しばらくは欧米の軍事力は健在です。

ウクライナ戦争も、米国とNATOにとって、ロシアの資源を狙ったものであり、BRICS通貨の弱体化の狙いもある代理戦争です。

基軸通貨というのは、世界経済支配の基礎です。

現在、金を積極的に獲得しているのは、ロシアと中国ですが、欧米諸国(国際金融資本家たち)が積極的に金(現物)を獲得しない、これらの動きこそが、金が世界の金融の中心的存在で無くなったという真の意味なのです。

さらに、デジタル・ゴールドとしてのビットコインは、分散化する基軸通貨の流れに乗ることが出来るのか、最も注目されるところです。

金が、遠い将来まで価値があるかどうかは、当方が予測しても意味がありません。

これからの世界の金融支配者(=軍事強者)たちのパワーバランスが決めることだからです。

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