フィリップ・K・ディック/凍った旅

あらすじ👇🏻

ケミングズが他の惑星へ移住する際に、冷凍睡眠カプセルが上手く作動せず、意識だけを持ったまま10年間の旅をする事になった。

人工知能搭載の船は、彼の精神が壊れないようにする為に、彼の過去の楽しい記憶を蘇らせるように感覚刺激を供給する。

しかし本当に他の惑星に着いた時には、彼は現実の区別がつかなくなった。


そんなお話。



感想👇🏻

彼は神経質すぎて物事を悪い方向に囚える。

自分が幼少期にした自責の念から、楽しい記憶をも真っ黒に覆い尽くしてしまう。


そして興味深いのは、自分の降りかかる不幸をその幼少期だけのせいだと考えている事である。


ここまで極端な思考は、ある意味で清々しい。


現実について👇


この作中の主人公は、作られた記憶を真実と思い込み、自分の都合の悪いように現実を置き換えてしまった。


現実と向き合うという事は常に正しいのか👇🏽


結論から言うと、私の意見はいいえだ。

極論だからあまり宜しくないが、私は主人公と同じように繊細で小さな事でもくよくよ考えてしまう。

だから向き合わずに逃げても良いという選択肢もあると思うと、心が楽になる。


逆にどんな時に向き合わなければならないか👇🏽

自分が現実と向き合って居ない事に対して、嫌悪感を抱いた時がスタートラインだと私は思う。


嫌悪感を抱くという事は、何かしら自分が変わりたいと心のどこかで思っているはず。


自分の本意に対して真っ向に向き合いたいと真に思った時、現実は必ず良い方向に変えられる。



この現実が真実かどうかは重要なのか👇🏽

これは非常に難しい。

この問題を派生させると、もしVRのようなもので一生夢を見続けていいのかという物にも繋がる。


直感的には良いと感じるが、私の理性が駄目だと叫んでいる。


それは様々な視点が交差するからだ。


- 虐めや暴力によって、自分の命を絶とうとしている者などの弱い立場の者。
- 人間という種の繁栄の視点。
- 現在が幸せな者。


私は簡単に首を縦に触れない。

寂しいのだ。

今が現実世界であるという前提において、他の人々はリアルで新鮮だと感じている。


しかしそれすらも再現できるようになったら、世界の人々、そして私は何を思うのだろう。

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