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社長人事の失敗

 2013年11月の日記、苦い失敗談です。
 
 当社の連結子会社T社の社長が、今月末で辞任するとのこと。
T社は当社のコントロール下で当社製品の一部を製造する、
いわゆる、機能分担会社だ。
2年前、T社の社長交代時に次を誰にするか、色々意見が有った。
 
 社長には当社から技術系の役員級を送るのが慣例であり、
何人かの候補が挙げられたが、
私は生え抜きが良かろうと、T社の当時の製造部長が、
技術力、人望ともに相応しいとして、社長に抜擢した。
初のプロパー出身の社長である。
当人には社長と製造部長の両方をやってくれと言い、
当社からは誰も送らなかったが、
結果から見ると、それが無理だったようだ。
 
 表向きの辞任理由は奥様のご病気で、
介護に専念したいとのことだが、
話を直接聞くと、職務の遂行に自信をなくし
精神的なストレスに抗しきれないのが主たる理由らしい。
製造業だから品質や工程管理上の問題が、
少なからず発生するが、一人で悩み、深刻に考えてしまう。
問題が起こる都度、当社から、人を派遣して応援してきたが、
それが逆にプレッシャーになっていたようだ。
 
 加えて独立した会社だから業績にも責任があり、
その面でも当社からのプレッシャーがある。
典型的な真面目人間で、このまま続ければ欝(うつ)に、
否、既に欝の初期かもしれず、辞任が無難と思える。
年齢は58歳、自宅に隣接して広い土地もあり、
経済的には心配ないとか。
 
 元をただすと、2年前にそれなりの人を送れば、
こんなことにはならなかったと思われ、
私の判断が甘かったと、自責の念に駆られる。
14年間の我社長業を振り返ると、
今回のような人事の失敗は何度かあるが、
他人の人生の一部を踏み台にしたような気がして気が重い。
我気分はブルーなのだ。

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