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弁慶像

 浜町緑道が人形町甘酒横丁と交差するところに、勧進帳の弁慶像がある。弁慶にしてはやや小ぶりだが、姿かたちは如何にもそれなり、なかなかに見応えがある。
 
 横の立札に以下の説明が書かれている。
  

          弁 慶 像 について
 今をさかのぼる事三百五十年前、現在の人形町あたりに茸屋町と堺町という街があった。
 当時のこの街では、江戸三座といわれていた芝居小屋のうちの市村座と中村座の二座が歌舞伎を上演しており芝居街と呼ばれていいた。また、浄瑠璃による操り人形の芝居小屋も数軒あり、歌舞伎と合わせて庶民の人気を集めていたという。
 ここで使われていた人形の製作と、修理に当たった人形師達はこの周辺に住み人形細工と人形の販売をも業としていた。
 以上が人形町の名のいわれとされており、ここ人形町界隈は、今日隆盛をきわめる江戸歌舞伎発祥の地と呼んでも差し仕えないといえる。
 この度、緑道の改修に当たって、入口の広場に歌舞伎十八番の内でも人気のある勧進帳の武蔵坊弁慶像を設置するとともに、その背面に関所風の冠水門を設けて江戸情緒をかもしだし、往時をしのばんとするものである。
                       中央区土木部公園緑地課
 

 土木部公園緑地課とは如何にも大袈裟な名称、職員も相当いるのではないか、中央区は財政に余裕がありそうだ。
 
 先日散歩の最後に甘酒横丁交差点のベンチに座り、緑道の緑を見て目を休めていると、非地元民と思しき人が、暫しあの弁慶像を眺め、横の立札を読み、感じ入っている様子。地元民にとっては日常の一風景だが、初めて見る人にはなかなか珍しく、興味を引くようだ。

弁慶にしてはやや小ぶりだが、姿かたちは如何にもそれなり

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