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芥川賞受賞作、九段理江「東京都同情塔」

 文芸春秋3月号に第170回芥川賞受賞作、九段理江さんの「東京都同情塔」が全文掲載されている。選考委員会の小川洋子さんや川上弘美さんなどの書評や受賞者インタビュー、九段理江さんの受賞の言葉が、紹介されており、大袈裟すぎる気もするが、その辺はなかば飛ばして作品全文を読んでみた。
 
 一言で言うと、この数年の芥川賞作品と同様、私にはあまり理解できず、登場人物に感情移入することはなかった。話の大筋(があるとすればだが)は、30代後半の女性建築家が東京の新宿御苑内の敷地に犯罪者を収容する超高層建築のコンペに応募して採用され、東京都同情塔なるものを設計して完成させる。それだけだ。
 
 これに色々枝葉が加わる。タワーの名前、収容される受刑者、看守等をどう呼び、人としてどう考えてどう扱うか、関連する色々な言葉の定義、意味を長々と語る。又、女性建築家がブランド店に勤める美青年を見つけて、自分が滞在してコンペ応募の構想を練っているホテルの部屋に誘う。色々あるが彼は建築家の伝記を書き始める。
 
 建築家は、東京都同情塔は、ザハ・ハンディが企画設計して建てられた(実際には建たなかったが)隣の国立競技場との二つの斬新な建物が一体で成り立つと考えて基本的な構想を練る。やがてコンペに勝ち、彼女の設計企画が採用されて、東京都同情塔は極めて斬新なデザインの東京の新しいランドマークタワーとして完成する。
 
 更にいろいろ書かれているが、一度読んだだけでは殆ど意味不明なのだ。今日はこれから、千葉柏の癌研東病院に行き、先日受けた内視鏡検査の結果を聞きに行く。往復の電車の時間、医師との面談に至るまでの待ち時間がかなりある。文芸春秋を持参して再度じっくり読んでみようと思っている。自分の忍耐力を試すだけに過ぎない・・・・気もするが。

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