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四畳半座卓生活

 2008年10月、8年間の新潟勤務を終えて、
東京の日本橋人形町に本社を置く某上場企業のトップに着任した。
自分の性格はどちらかというと内向きで、
表舞台で先頭に立つことに向いているとは思えないが、
サラリーマンに否応はないのである。
 
 横浜の自宅から、人形町に通い始めたが、
顧客、販売代理店、業界関係者等との会食が多く、
合間に、埼玉の工場に行かねばならず、遅い帰宅が続く。
我が身は既に61歳、通勤に1時間余りを要し、
朝起きる時は、一大決心が必要だし、
昼食を食べて自席に座っていると、睡魔に襲われる。
 
 これでは続かないと、会社まで徒歩5分のところに、
2DKの賃貸マンションを借りた。
賃貸料は高いが、お金より体・・・だ。
最小限の荷物を横浜の自宅から運び、
4畳半の和室に炬燵兼用の座卓をおいて、
食事もテレビも読書もパソコンも全てそこでこなす。
新婚社宅時代、新潟時代に続く3度目の4畳半座卓生活だ。
 
 住んでみると、人形町は都心のオフィス街でありながら
下町の風情を色濃く残し、便利で面白い。
人形町通りや甘酒横丁には昔ながらの
個人商店が並んでいる。
一歩裏に入ると、旧い木造の2階家も多く、
ここが都心とはとても思えない。

人形町2丁目の裏通り、正面は明治座のビル


旧い日本旅館

早朝、近所のお爺さんが、地域猫に食事を提供し、
(地域?)雀にパンくずをばらまいている。
 
 飲食店は、サラリーマン向けの居酒屋が多いが、
高級料理店の並ぶ、趣のある路地もある。
我お気に入りの寿司屋は安いが新鮮で美味しい。
地下鉄に乗れば、築地、銀座、上野、浅草まで数分、
休日には都心の散策、食べ歩きを楽しめる。
 
 1年後、会社の本社を埼玉の工場に移したので、
大宮に転居し、3度目の4畳半座卓生活は終了。
しかしながら、人形町の利便さと下町の風情は忘れ難く、
将来の生活拠点は人形町もありえるかなと、
マンションを購入することになった。
その辺の経緯は別途・・・



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