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就活生に読んでほしい。漫画『ブス界へようこそ』が本質的な「自分との向き合い方」を教えてくれる。

タイトルに反して、なんと優しい漫画だったことか。登場人物を通してすごい熱量で届けられるメッセージ。まず、漫画として傑作です。

そして同時に、キャリアコンサルタントという立場で読んで、就活で最も重要な「自己理解」のエッセンスが詰まりまくっていたので、就活中・転職活動中の方に全力でこの作品をお勧めしたい。
(本筋には触れませんが世界観の説明で少しだけネタバレ要素あります)

キャリア相談で出会う「個性」と「コンプレックス」

就活や転職支援をしていていると、本当に多くの『個性』と出会います。
そこまでは全員同じですが、そこから個性を愛せている人と、個性が『コンプレックス』となっている人に大きく分かれます。

その分かれ道は多分思春期にあって、学校という独特な社会に影響される部分も大きいはず。
中学生ぐらいの頃、スクールカーストの尺度って「外見」「面白さ」「運動神経」とかの3種類ぐらいしか無いじゃないですか。本当は世界にはもっと多様な価値観の尺度が溢れているのに、強制的にその3つの尺度で優劣をつけられるんです。
それ以外に自分の得意なことがあっても評価されにくいコミュニティで、多感な時期の大半を過ごさないといけない。次第に自分を恥じ、傷ついたり隠したりしながら、個性が「コンプレックス」へと形を変えてしまいます。

漫画『ブス界へようこそ』も、外見にコンプレックスのある女の子が主人公です。

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あらすじは省略しますがその後のストーリー通してこの漫画がずっと言っているのは、
「『外見』みたいなたった一つの尺度ですべてを諦めるな!お前の価値はそんなものだけじゃないってことに気づけ!」
ってことです(多分)。苦しんでいる人へのエールだらけ。

「生まれた時点で恵まれた(ように見える)相手」等との競争を通して、苦しみながらも自分の個性を主人公が愛していく、そんなストーリー。
名言の宝庫です。メモ片手に読むべし。


人は生まれ持った体質に苦しむことがある

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この辺りかなりリアルだなぁと思うのが、例えば上のコマでもHSP(Highly Sensitive Person:感じる力が強く繊細な人)の特徴の描写がありますが、この体質を持つ人は、空気を読めすぎて疲れたりとか、相手の感情に振り回されてしまうといった生きづらさを抱えることがあります。

この物語の中でも主人公は周りからの影響を受けやすく、それによる苦痛がつきまとうという宿命を背負いますが、逆に理想となる人に「成り切る」ことで力を引き出すというポジティブな自分の体質を扱い方を覚えます。

キャリア相談の中でも、仕事上の失敗や生きづらさの原因が「体質」だったと分かることがあります。すべての体質は、プラス・マイナスが表裏一体です。人は、自分の体が最も力を発揮できる環境を知ることで強くなれます。
このあたりも漫画で描写されていることとリアルは同じです。


自分を知るとは、自分がどんな時に何を感じる人間なのかを知ること

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コンプレックスだらけだった主人公の「今私に一番必要なことって何ですか?」という問いへの、師匠の返答。

僕たちは自分で思っているほど、自分のことをよく知りません。
「自分は何をすべきなんだろう?」という自分の役目に対しての答えを持っていないなら、それはきっと自分の個性を知らないからです。

この社会で自分がどんな時にどんな事を感じるのかという経験を積まなければ、自分の個性は見えてきません。

これまで自分に起こってきた出来事にどんな感情を持ってきたか。
どんなことに苦しんだり、悩んだりしてきたか。
その裏返しに、自分の役目があります。

だから、社会とたくさん出会うこと。これが自分の役目を知るために最も大事なことです。


他者の否定による自己肯定は、もうやめよう

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この漫画の中では、高レベルの人間は低レベルの人間を「削除」することができます。(レベルが高いほど美人)
削除は言い換えれば「存在の否定」みたいなものだと思いますが、これもカースト下位の人が上位の人を削除(存在否定)しても通用しなくて、リアルな学校社会とほんと似てて笑えますね。

面白いのは、レベルが上がった人たちは自分よりレベルの低い(醜い)相手の存在否定をすることで、自分の強さを確認しようとし続けること。

Twitterやネットで他者批判をする人の心理もこれに近いと思いますが、相手の存在を否定することは、相対的に自分の価値を確認できるため自己肯定感が増します。
そうやってしか自己肯定が出来ない人も、世の中にはいるでしょう。

ところが主人公は、他人を否定することで自分のことを強い人間だと思う道ではなく、自分のこれまでの経験を肯定し「得意」を認識することで、強くなる道を選択します。

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これも様々な相談にのっていて感じることですが、他人との比較でしか幸せを感じられない人は、ずっと続く競争の中で疲弊していく人が多いようです。

他人との比較ではなく、誰がなんと言おうと自分自身を肯定してあげられるようになれ!とこの漫画は言っています…!


なんと今、Amazonで無料ダウンロードできます

ここには書ききれない名言がちりばめられた本作ですが、Kindleで無料で読めます。いくつかの漫画アプリでもチケット制で読めるみたいですね。
この漫画無料て…いいんですか!?

就活中の方、生きづらさや、コンプレックスに苦しむ方に読んでほしいなと本気で思う漫画でした!

今後の展開にも期待。ぜひ読んでみてください。

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