「新しい働き方をつくる。」一緒にソーシャルファームを立ち上げる仲間を募集します。
11月19日、僕は奈良の吉野にいた。
見事な秋晴れ。天気に恵まれ、澄んだ空気が心地よい。ジャズフェスティバルが開催されるその日、フードブースでカレー屋の出店準備をするメンバーは皆笑顔だった。
「◯◯ちゃんやん、元気!?」「就職して東京で働いていて」など、さながら同窓会のよう。久しぶりの出店はドタバタと感覚を思い出すように始まり、次第に息が合いテンポが良くなっていく。みんな笑っていたし、僕も楽しかった。
カレー屋を運営するのは、僕が募集した実験的な取り組みに手をあげ、参加してくれたメンバーたち。1年前、こんな光景が見られるなんて予想もしていなかった。僕は試行錯誤ながら社会に新しい選択肢を作ろうとし、その選択肢を信じて今を歩いている皆の姿を眺めていた。
少しずつ、始まってきている。
空想の中で思い描いていたことが、形になっていく予感を感じている。この予感が正しいと信じたい。だからこそ、一緒に試行錯誤を手伝ってくれる仲間が必要だと思った。
これは、まだ社員が僕含めてたった2名しかいない会社の、3人目と出会うための手紙のようなものだ。
自己紹介と、これからやっていきたいこと
改めて、はじめまして。
大阪でNIMO ALCAMO(ニモアルカモ)という一般社団法人を運営している古市といいます(周りからは、「プッシュさん」とか呼ばれています)。カレー屋をやりながら、働くことを支援する事業を並行して行っています。
カレー屋と働くこと支援、というミスマッチな組み合わせが僕は大好きなのですが、2020年に前職を辞めるまでは7年間、その就労支援と呼ばれる仕事が本業でした。行政から委託され運営していた支援施設などで、さまざまな方の「働けなさ」と向き合ってきました。
前職を辞めた時の投稿に詳しく書いていますが、僕が独立して始めたかったのは、「人が仕事に合わせて無理するのではなく、人の個性に合わせて仕事をつくる」ことです。困っている本人への支援だけでは出来ることに限界があり、僕は仕事を作り出したかった。今のルールでは働けない人が、働ける職場をつくりたいと思っていました。
どのような形でそれが事業に出来るのか見当もついていない状態で会社を辞め起業したので、壁にぶつかりっぱなしの2年間。
色々もがいていると「ソーシャルファーム」という言葉に出会いました。ソーシャルファームとは、自律的な経済活動を行いながら、就労に困難を抱える方が、必要なサポートを受け、他の従業員と共に働いている社会的企業のことです。東京都では条例化されていますが、他の地域ではまだ整備が進んでいません。
現時点で僕がめざしたいことは、ソーシャルファームを様々な形で立ち上げることによる新しい雇用づくりです。さまざまな「働けなさ」を起点に、それが解消されるような職場を立ち上げ、働く選択肢を増やしていきたいと思っています。
プロジェクトの紹介
NIMO ALCAMOが取り組むのは基本的に「個性に合わせた新しい仕事を生み出す」プロジェクトです。これまでに実施してきたプロジェクトを紹介します。
サーカスキッチン
「じっとしていられない」「繰り返しが苦手」という個性を自覚している方の多くは、それを「中途半端」「甲斐性なし」というコンプレックスとして捉えていることが多いのではないでしょうか。でも一つのことを極めていくことが苦手だとしても、裏を返せば“新しいことが苦にならない”と言えます。サーカスキッチンはそんな「フットワークの軽い料理人」と、「専門店の少ない過疎地域」を結ぶプロジェクト。
人口の少ない過疎地域では、ニッチな料理を提供する店舗は多くありません。そのニーズを満たしに時々都会から料理人が訪れて、その地域ではあまり食べられないような料理を提供する都市部と地方の交流を行っています。
中川政七商店さんが主催する「SMALL BUSINESS LABO ビジネスピッチ」で優秀賞をいただきました。
しごとの間借りプロジェクト
しごとを休職していたり、離職せざるを得なかった人にとって、次にどのような仕事を選ぶかはとても慎重になる問題です。「働かないと。でも、どこでなにを?」そんな悩みを抱えてしまうのは、世の中何をするにしても「覚悟」が求められすぎるから。自信なんてないけど、もっと小さく、働くことを試してみたい。そんな方をサポートするのが、場所を間借りするようにしごとを間借りする「しごとの間借りプロジェクト」。
アルバイトとボランティアのあいだという新しいワークシェア制度をつくり、報酬は少ないけど業務負荷も少なく、期間限定でしごとを試すことができるプロジェクトです。
20222年上期では、バターカレー専門店「休息日のバター」台湾かき氷専門店「空白冰菓店」の2店舗を立ち上げました。冒頭のエピソードは、このプロジェクト卒業生がイベント出店で一日限りの再結成をしたときのものです。
次年度以降のプロジェクト
「新しいプロジェクトが立ち上がるごとに新しい働き方が生まれる」ことをめざして、いくつかのプロジェクトの準備中です。現段階で動いているのは「シフト」というルールを外し「24時間好きな時にいつ来ていつ帰ってもいい職場」。
精神的に不安定な状態や、育児や介護で突発的な対応が必要になってしまうなど、「未来の自分の時間を確保する」シフトという働き方が合わない人が、自分の都合に合わせて働くことができる職場を実現させていきます。この職場づくりのプランが、「YY SOCIAL BUSINESS DESIGN CONTEST 2022」にて大吉財団賞を受賞しました。
制度が変わるべき点については、政策提言を行い新たなルールづくりにも取り組んでいく予定です。
今回の募集について
起業後少しずつ進んできた法人ですが、2023年4月から事業を広げていく予定です。ただ今後のご縁や助成金の有無によって事業計画は変わってきます。3月ごろになるまで分からないものもあり、そうすると急な採用活動となってしまいます。
そこで、事前にインターンという形で週末や平日夜に副業などで携わっていただく「ゆるやかな転職検討期間」を持っていただき、次年度の法人の事業内容決定後(2〜3月)に改めて入社をご検討いただく採用フローをとることにしました。
在職中で副業NGな方はプロボノとして関わっていただいたり、関わる頻度についても柔軟に対応できればと思っています。
これから行うのはソーシャルビジネスの立ち上げです。収益性のある新しい事業を立ち上げるベンチャーになります。やったことの無いことも勉強しながら動き続けないといけないし、泥臭く売上を伸ばしていく努力を続けないといけません。正直僕も苦手なので、一緒にディスカッションしながら進められたらと思います。
そしてとても身勝手な話になるのですが、もし次年度プロジェクトが走らなかった場合「フルタイムの雇用枠は作れませんでした」となってしまう可能性があります。ただ仮にそうなったとしても、ソーシャルビジネスの現場で働いた経験は、あなたの今後に必ず役に立つものになるはずです。
なので「転職に繋がるかもしれないし、繋がらないかもしれないけど、自分の経験のためにチャレンジしてみたい」という気持ちでエントリーしていただけたら幸いです。
募集要項
サポートいただいたお金は、今行っている若者の就労支援などへ充てさせていただきます。