過疎地域の豊かさを守るしくみ、サーカスキッチンが料理人を募集します。
前回のプロジェクト立ち上げ投稿を書いてから3ヶ月が経ちました。
3月上旬までは緊急事態宣言を受けて活動自粛し、動けないあいだは地域の方、料理人の方とオンラインでたくさん話しました。そしてコロナの様子を見ながら、3月下旬より少しずつ個性豊かな地域への出店が始まっています。
色々な出会いや対話を繰り返していると、サーカスキッチンがすべきことがより鮮明になってきました。今回は、この3ヶ月で進んだサーカスキッチンの現在地点をお話します。
地域は、役割の補い合いで出来ている。
この3ヶ月、「地域とは?」とか「料理とは?」みたいな抽象的なことを考えていました(笑)。その中で一旦出した答えは、当たり前かもしれませんが「地域は役割の補い合いで出来ている」ということです。地域には色々な役割の人がいます。
例えば僕の実家の香川の田舎。足が不自由な僕の叔父を、いつも気にかけて下さるご近所さんがいます。ほかにも、地域の行事を仕切るまとめ役、お年寄りの力仕事を引き受ける若者、地域をにぎやかにする子どもたちがいます。農業用のため池や商店といった設備・機能も、みんなが利用することで維持されています。
ところが人口減少が進むと、役割を担う人がいなくなったり、みんなで維持していた施設がなくなっていきます。これから日本全国どこの過疎地域も、「地域にあって欲しい役割が不足していく」方向に進んでいくでしょう。
全国的に人が足りなくなっていく日本で、全ての地域が移住者を増やすのは現実的ではありません。では人口減少地域はどうやって豊かでありづけるのか。その解決策の一つが、サーカスを参考にした「役割を埋めに外からときどきやって来る」という形だと考えています。
地域の足りない役割を埋めにやってくる、サーカスキッチン。
(岡山県備前市日生の出店は海を見下ろす頭島で)
サーカスキッチンとは、料理を通して「その地域に足りない役割を、外から埋めにやってくること」だと整理しました。
そう考えると、その地域に欠けている役割は何なのか?を知る所からサーカスキッチンが始まっていくことになります。この地域はラーメン屋が無いんだなとか、記念日に特別な食事を楽しむ店が無いんだとか、その地域のニーズを教えてもらうことが第一歩です。
逆に言うと、その地域にあるのにわざわざ外から同じようなものを持ち込まない。せっかくカレー屋が地域にあるなら、近くにカレー屋を出しに行くのはちょっと違う気がします。でもコラボ出店して技術交流するとか、地元のカレー屋のプラスになる形にするなら価値がありそうです。
予約が入った所へ行く出張シェフと違い、サーカスキッチンのような出張レストランは事前に地域の方に開催が周知されていないといけません。そのためには地域の方の協力が必須です。「来てくれて嬉しい」と思ってもらえる地域との関係性こそが肝で、そのためにも地域の不足した役割を補いにいくというスタンスが重要だと感じています。
地域に足りない役割と、それを担える料理人が出会うこと。
僕がカレー屋として地方に出店していた頃、役割の補い方はとてもシンプルでした。専門店が無いところへ専門店の料理を提供する。それだけです。
そこからサーカスキッチンのコンセプトが生まれたわけですが、地域をより知っていくと「専門店に来てほしい」だけではないニーズもだんだん分かってきました。
・高齢者の孤食が心配
・福祉施設のご飯が代わり映えせず飽きている
・生産過多により捨てられる食材がある
・一人暮らしでお惣菜生活、食生活が偏っている
などなど。どれも、料理を作れる人が一役買えそうな地域課題です。地域のニーズに応えようとすると、将来的にはレストラン形態ではなく出店先が福祉施設になるかもしれませんし、時短料理教室をしに行く地域も出てくるかもしれません。
「過疎地域に専門店の料理を提供する」という型を基本にしつつ、地域ニーズに合わせて形を柔軟にしていくことも考えています。
「料理を使って地域に関わりたい」と思っている料理人の方は多くいるはず。あとは、そのスキルを求めている地域と出会うための仕組みさえあればいい。まだ少しずつでしか動き出せていませんが、いずれ全国の過疎地域と料理人が出会う仕組みを作っていきたいと思っています。
(京都の出店は元銭湯の空間で。市場に流通しないB級品野菜を使った料理を提供)
サーカスキッチンを一緒に盛り上げる料理人を募集
なんてことを色々考えていますが、上手くいくかは実践あるのみ。料理人や飲食関係者でサーカスキッチンを一緒に盛り上げてくださる方を募集します。
出店イメージを持ってもらうために、これから行くことが決まっている出店先の一例をご紹介しますね。
ここは岡山県美作市の上山地区。棚田が綺麗な山間部の集落です。一時期は耕作放棄地が増えて荒れていた棚田ですが、移住者の若者などが時間をかけて棚田再生に取り組んでいます。
田植えのシーズンになると村の人総出で田んぼ仕事を行うのですが、もう全員ヘトヘトで「家に帰ってご飯をつくろうって気にならない」のだとか。集落には古民家を改修したカフェが1軒ありますが、週1日のみの営業で、オーナーも田植えをするのでお休みになることもあります
その空いているカフェを借りて、田植えで腹ペコになった皆さんに、お腹いっぱい食べてもらえる田植えシーズン限定の出店を行う予定です。目の前に棚田が広がりロケーションは最高。料理を通して棚田再生を応援しようと思ってくださる料理人の方と一緒に出店できれば嬉しいです。
この出店先はあくまで一例。大阪を中心に関西・中国・四国エリアでさまざまな出店先があります。地域ごとに出店形態や条件が違うので、詳しくはお問い合わせください。
現時点の出店環境について以下ご一読ください。まだまだ試行錯誤中です。
・料理の本業、副業は問いません。何かの「専門料理」や「鉄板メニュー」がある方が出店内容が伝わりやすいです。
・いずれ各料理人がそれぞれ地域へ赴く形に出来ればと思っていますが、しばらくは主宰者が一緒についていきます。(運営補助します)
・使用できる調理器具や食器は出店先によって違います。必要な器具をご持参いただく場合があります。
・仕込みは現地で前日にしたり、事前に仕込みをしたものをクール便で発送して現地受け取りを行うこともできます。
・開催地まで公共交通機関や車でお越しください。キッチン機材などを積んだ車は大阪出発なので、タイミングが合えば大阪市内の方は車でピックアップできます。
・滞在を伴う出店(一泊二日〜)になります。地域の空き家をお借りするなど極力低コストで滞在できるようにしていますが、ホテルのような環境ではないことをご了承ください。
・出店料や来客数・利益は地域によって違います。詳細はお問い合わせください。
普通に都会で店を出すのに比べて手間もかかるし大変なんですが、それに代わる面白さがあります。オフィス街やイベントではない無い、地域の日常へ出店することを楽しみたい方のお問い合わせをお待ちしています。
問い合わせフォームはこちら
https://forms.gle/SV31RvkAUrgWVvqh7
P.S.
サーカスキッチン始動に合わせて、ハイエースを購入しました!(これまでは軽トラでした…)
荷物もたくさん積めて5人まで乗れますよ。一緒に同行していただけるボランティアスタッフや「曲芸できます」のように(!?)一緒に出店を盛り上げて下さる方も募集します。問い合わせフォームからぜひご連絡ください。
出店情報はSNSで発信しています。
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