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にみり
2021年3月14日 07:40
あたりが暗くなり、病院の中も人がいなくなった。時折通るスタッフさんの足音だけが、やけに響いて聞こえた。通常の倍ほど、約8時間かかってようやく扉が開いた。わたしと三男は立ち上がり、軽いおじきをした。白衣を来た医師に名前を呼ばれ、「こちらへどうぞ」と案内された部屋へ入ると、奥のテーブルの上には、ステンレス製だろうか、銀色の箱。も、もしかしてあの中に臓器が?「随分、時間が
2021年3月8日 20:48
数ヶ月前に成人を迎えた三男、これがまた、優しい男。後ろから、前から、抱きしめたい衝動に駆られる。だか、理性とやらが、わたしを制御する。彼が幼い頃は、躊躇なくそれが出来たのに大人になったら何故だろうか、できひん。夫が前立腺がん全摘出手術を受けている間、三男は不安気なわたしに気遣いをしてくれる。大学の授業がリモートになって、耳にワイヤレスイヤホンをつけ、スマホを見ている。「暇やろ?」と、
2021年3月5日 05:03
午前11時から始まった前立腺全摘出手術は、終了予定が「17時」と看護師さんに言われた。6時間かかるという計算。「何かあったり、早く終了した場合は、携帯でお知らせしますので一応、17時にナースステーションに来てください。」ネットで予習した前立腺全摘出手術は、通常3〜4時間。まぁ、予定時間を多く見積もるというのは世の常だから、たぶん、15時から16時あたりに携帯電話が鳴り、終了の知らせが入