「俺の前立腺、癌やったわ」〜夫が癌になって〜⑩ 手術-2 息子を抱きしめたい
午前11時から始まった前立腺全摘出手術は、終了予定が「17時」と看護師さんに言われた。
6時間かかるという計算。
「何かあったり、早く終了した場合は、携帯でお知らせしますので
一応、17時にナースステーションに来てください。」
ネットで予習した前立腺全摘出手術は、通常3〜4時間。まぁ、予定時間を多く見積もるというのは世の常だから、たぶん、15時から16時あたりに携帯電話が鳴り、終了の知らせが入るだろう、と軽い感じで思っていた。
前立腺がんの根治的手術療法としては、「前立腺全摘除術」が行われます。
前立腺全摘除術は、全身麻酔をした上で、開腹して前立腺と精嚢を切除し、さらに膀胱と尿道をつなぎ合わせる手術です。手術方法には開放手術、腹腔鏡手術、内視鏡下ミニマム創手術、ロボット支援下手術などがあります。
手術時間は通常3~4時間程度で、2週間程度の入院が必要になります。
「What's? 前立腺がん」サイトから
一部引用
さて、三男と病院の外に放り出された(適切な言い方ではないが)わたしは、数時間もの間、さて、どこで何をしようかとしばらく病院の出口で突っ立っていた。
「とりま、動こう。寒いし。」
という三男の声に2人は歩きだした。
あぁ、「とりま」のとりま、というのは「とりあえずまず」の略言。ってか若者言葉。
子ども達と話していて、時々、通訳が必要になるこの世代である。
んで、とりま動き出したわたし達は、行くあてなどなくふらふら歩き、少し早い昼食でもとりましょうか、ということになった。
あまり遠くへ行くと、何かあった場合の携帯の呼び出しに、すぐに対応できなり困る。
とはいえ、「一応17時にナースステーション」というこの6時間を昼食を食べた飲食店、その一箇所で過ごすには、あまりにも店員さんの目を痛く感じるであろう。
何はともあれ、四六時中腹減り食べ盛りの三男とちょっと感じのいいおしゃれな飲食店へ入ろうとした。
「おやじが手術で頑張っている時に、俺ら、いいもん食ってええんかな」
三男が呟く。
「えっ?」
うゎ、なんてあったかい子に育ったんんやろ。
こんな子に育てた覚えはないが(ん?)
優しい子になった。
飲食店の前だけど、
ギュッと息子を抱きしめたいと思った。
思っただけ。
To be continued
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