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アメリカの高校情勢。King & Queenはダメだから.....。
新学期始まってまもなくして、Homecoming(ホームカミング)というダンスパーティが毎年恒例で開催される。なんで"home coming"なのか、いまだにわからない。文字通りにとれば、卒業生が母校に戻ってきて、ということだと思うのだけれど、そういうわけではなく、在校生だけのダンスパーティ。もしかして新学期が始まって2ヶ月後くらいのイベントだから、夏休みが終わって学校に戻ってきた、っていう意味なのだろうか....。
さて、このhomecomingは学校主催のイベントだから、体育館でPTAがお金を払って雇ったDJが音楽をかけ、着飾った生徒たちが集い、誰がどういう基準で選ぶのか知らないが、Homecoming King & Queenが発表される。
が、ほとんどの参加者の主目的はこの学校での時間じゃなく、その後に各グループ毎に誰かの家で集まる二次会での「飲み」なのだ。だからKing & Queenが発表されるや否や、皆さっさとその場を後にし二次会に向かう。学校に唾吐きつけるかのごとき態度である。
ムスメが水泳の練習を休んでまで行くわけがない。
9月に新学期が始まってすぐくらいから、SNSで「私はこのドレスに決めたから、同じの着ないように!」という牽制宣言をその目的とするアカウントが立ち上げられる。チェックしないで同じドレスを着ようものなら、どんなことになるのか、想像しただけでもオソロシイ。
"Who are you going to the homecoming with?"
と、色気狂いな同級生がムスメに探りをかける。
"I am not going to the homecoming."
"OMG, why aren't you?"
男の子のことしか頭にないこの子には理解できないらしい。ムスメは真顔で答える。
"I have a swim practice."
水泳の練習?のために、パーティに行かない??全然わけがわからない相手は、さらにムスメを追い込む。
"You can skip the practice, right?"
"No, I do not skip the practice."
"Can't you go after the practice?"
"Listen. I don't skip a practice and I do not wish to go to the homecoming."
きっぱりとはねのけるムスメを呆然と見つめる相手をその場に残し、我が娘はすたすたと立ち去るらしい。笑。
誰と一緒に行くか、というのは大きな話題である。もちろん、男女ペアで行く必要はなく、女同士男同士、友達同士でも問題ない。他校の子でもいい。このご時世になっても「パートナーになって」と申し込むのは男の子の役目らしいから、よくわからない。ムスメには「男友達」がたくさんいるから、ムスメが「行く」となったら、彼女のいない連中の間でムスメの取り合いになる。最近、仲間の一人であるErikが、数ヶ月付き合った彼女にフラれて落ち込みのどん底だった。彼の仲間たちが、もしもhomecomingまでに立ち直らなかったら一緒に行ってやってくれ、とムスメに頼み、でもErikが立ち直っていたら俺と一緒に行ってくれ、と数人が順番待ちしていた。
「へぇ、行くの?」
「Erikがズタボロだったら、まぁ考えるけど、そうじゃなかったら行かない。練習あるし、興味ないし。」
さて。昨今の社会情勢により"King & Queen"という名称はLGBTQ Friendlyじゃないので、今年から "Tiger 1 & Tiger 2"に変更されるというではないか。(Tigerというのは学校のマスコット)
Tiger 1 & Tiger 2? まるで、かのDr. SeussのThing 1 & Thing 2 じゃないか。
..........。
そして、私はさらに考えた。1 & 2ってことは、男女の違いはないけれど、1の方が2よりもいい、ってことにならないか?詰めがホントに甘い。問題の複雑さの本質を多角的に理解してないから、こういうくだらないことをやってのけるハメになる。
社会情勢にちゃんと沿って変更するのなら、Coffee & Teaとか、Apple & Orangeとか、Dog & Catにすべきだろうに。
アホらし。
ムスメの支えによりErikは無事に立ち直り、やっぱりムスメはhomecomingには行かないそうだ。練習あるし。笑。
ただただ好きで書いています。書いてお金をもらうようになったら、純粋に好きで書くのとは違ってくるのでしょうか。