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親に"Unpleasant"といわれる娘たち。
ティーンの娘をもつ親たちが集まって、誰かがぽそっと娘の態度の悪さをこぼすと、
うちの娘だけじゃなかったのね!
とばかりに、皆一斉に一致団結態勢となる様は壮観である。年齢は中学生から高校生だが、15歳以上になると親はもう途方に暮れている。自分の育て方が悪かったのか、どうしてこんなふうになってしまったんだろう、どこまでこの悪い態度を許していいのか、どこでビシリとこっちの限界を示さなければならないのか、と母親たちは皆ウロウロと迷っている。と、私の目に映る。
何度も書いているが、うちのムスメも例外ではない。例外ではないどころか、ちょっと前まではその先頭を旗ふって行進しているような奴だった。
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ムスコが見つけて、私に送ってきたコレを見た時には、ひっくり返って笑ったが、その後も思い出して笑い、保存しておいて時々見てまだ笑っている。
これ以上、正確に的確にムスメを表現しているものはない、という精度の高さである。外から見ても、いかにも態度の悪そうな子もいるが、うちのはそうではない。友達の親にはにこやかに挨拶するし、先生うけコーチうけもいい。私に見せる態度の悪さが、家の外で展開する時があるとしたら、もともと相性が悪い同級生やチームメートに対して、堪忍袋の尾がキレてグワァーっと相手がぐうの音も出なくなるほどやり返す時くらいだろうと思う。
ゴジラ、である。
母親にはどんな態度を取っても究極のところ許されるという甘えがあるからだが、本人はそれを自覚してないから始末が悪い。いや、自覚していて、それを利用している、のかもしれない。
この年齢になると、もう「親の顔が見てみたい」とは言えない。もう親じゃない。社会が、彼女たちを取り巻く環境の結果、だと私は思う。もちろんこれまでどういう育てられ方をしたか、という要素も大きいが、その基礎基盤をもとに自分自身がどういう人間として生きていきたいかを考えられるはずの年齢に達している。
高校の時が一番酷かったけれど、大学生になって社会人になって落ち着いた、変わったという話をよく聞く。大きくなったら仲が悪かった兄弟姉妹が助け合うようになったし、親が老いたら優しくなって頼りにできるし、というのもよく聞く。
Jonathanが、うちのムスコと同い年の一人娘のことを、
"She is…….just very unpleasant."
と、これ以外どういう形容詞で表現したらいいのかわからないとでも言いたげな表情でつぶやき、私は思わず吹き出した。
She is annoyingとか、outrageous, uncontrollableというと、真っ向から戦いを挑んでくる娘に対する親の「怒り」「憤慨」が明確に表現されるが、unpleasantとなると、その娘の態度はあからさまな反抗ではなく、子供なりに親と真っ向から対立することを避ける遠慮が見え隠れしながら、でも反抗はしてやる、みたいな、そういう娘と親の間に流れる空気を不快に思う親の気持ちを見事に表現している。
彼の娘もうちのムスメもきちんと愛情を持って育てられたいい子なのだ。だけど、この年齢になると理由はなんであれ反抗する。好意的に解釈すれば、自立心の表れであるが、反抗したいから反抗するみたいな時も多い。彼女たちは自分の言いたいことを言い(時には怒鳴り)捨てて親の言い分に耳を貸さず、その場を去る。Unpleasant=不快、な空気を親の目の前に残り香のように捨てていく。
親は口を揃えていう。
She thinks she knows everything, but we know she doesn't. (自分はもうなんでもわかってると思ってる。でも、私たち親は彼女たちが全てをわかってないことを知っている)
Unpleasantという形容詞を紹介したら、皆これ以上同意できないというばかりの反響だった。
私はムスメが吠えた時には、彼女のことを"Godzilla"と呼んで友達に愚痴るが、今の年齢の彼女を一言で表現するなら、"unpleasant"が最適だと思っている。
ただただ好きで書いています。書いてお金をもらうようになったら、純粋に好きで書くのとは違ってくるのでしょうか。