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ボストン旅行。Star Warsを見てから帰宅。

朝、目が覚めたけれど、アパートの中はシーンとして物音ひとつしない。若者たちが何時に起きるのかわからないし、皆が起き出して混雑する前にと、こっそりひっそり洗面所に行って歯磨きと洗顔。帰りの荷物をまとめていたら、早起きのムスメも起きてきてシャワーを浴びると言う。そして、かちゃっとドアが開いた音。隣の部屋のJasonが起きたらしい。

荷物を整理してからドアを開けると、Jasonの部屋のドアが開いている。声かけてもいいというシルシ。

"Would you like to have a cup of tea with me again?" 

覗き込んで、昨日みたいに一緒に紅茶どう?と声をかけたら、一瞬だけ意外そうな表情をして、やらなきゃいけないことがあるから10分待って、という返事。ムスコのドアはまだ閉まっている。

荷物をまとめ終わったムスメもやってきて、キッチンで集合。紅茶を飲みながら、おしゃべり。昼頃出発するとして、ここで何か食べていった方がいいなぁ、冷蔵庫の中のものなんでも食べていいって言ってたなぁと思ってると、ムスコとKatyaが起きてきた。私がホームベーカリーで焼いて食べさせようと持ってきたパンと日系スーパーで見つけた抹茶バターを試せ、というと、そうだったそうだったとみんなの分の準備を始めるムスコ。

スクランブルエッグでも作ろうか、と声をかけたけれど誰も返事をしない。ムスメ用に作り、私は冷蔵庫の中をあさり、ムスコが作ったチャーハン(ご飯に対してチキンの量がスゴイ)の残りをチンして、スクランブルエッグをちょっと混ぜて食べた。

最近、私は残り物を使って、ホイッと一品作るのが上手くなった。#食品ロス削減と#ミニマリストがサブリミナルで頭に入ってきてるせいだろうか。ムダがなくなるのは、妙に満足度が高く嬉しい。

食べ終わって、じゃあそろそろ行く?とムスメを促すと、

「え、お昼までいるって言ったじゃん」とムスコ。

あら。
いいよ、別に急がないしお昼に出られれば遅くならないし。

Jasonは献血に出かけるという。彼が戻ってくる頃にはもういないかもしれないから、一応、お別れの挨拶とハグをする。

そして。

Star Wars: Episode 3、見よう!とムスコ。

四つめのForce. 「一緒にStar Warsを見ることを家族に強要する」
Forceは「強要」という意味もある。
世の中にはなんてウィットに富んだ人がいるのだろう。

ムスコに出会うまで、Star Warsとはまるで縁のなかったKatya。彼女ができたと報告を受けた時、私の第一声は、"Does she like Star Wars?" 「今、教育中。」とムスコ。

前の晩にEpisode 3を途中まで見て、6時半からチキンと格闘したので、まだ1時間分残っている。これをみんなで最後まで見てから帰途につこうということになった。

Episode 3は、AnnakinがいよいよDark Sideに行ってしまう過程が描かれている。Padomeと言い争いになり、ムスメが"Force Choke is coming!!!"と叫ぶ。Obi WanとAnnakinが戦うシーンで、どうしてこんなに悪の道に染まってしまったのか、と母が考え込んでしまうのは毎度のこと。ルークとレイアが生まれる。すると、Katyaが…..

「え?レイアの父親ってアナキンでしょ。で、アナキンがダースベーダーになるってことは……..レイヤの父親はダースベーダー?」

ムスコは無言ですっくと立ち上がり、両手で顔を覆う。ムスメは笑いをこらえて私を見る。私も、笑いをこらえてムスコを見守る。

映画の後半から、私は前向きに身を乗り出して見ていたもんだから、立ち上がったムスコが私を指差して、まくし立て始めた。

"Look at my mom!! She is LEANING FORWARD!!! She is very interested in this movie and paying attention!! You fell asleep, you were looking at the phone, now you finally figured out Darth Vader was Leia's father?! Katya!!!"
(俺の母親を見ろよ!身を乗り出して見てるじゃないか!この映画にのめり込んで、注意を払ってるんだよ。それなのに君ときたら、映画の途中で眠りこけるし、携帯見始めるし、やっとダースベーダーがレイアとルークの父親だってわかったっていうのか!)

もうこの時点では、ムスメも私も二つ折りになって笑っている。

僕は、友達に見せる時、ちゃんと興味を持って注意を払って見てるかどうか、ときどきチェックしてるんだ。気づいてないと思うなよっ!

Katyaは、気まずそうな、でもお茶目な表情で笑っている。

あぁ、この二人はいいカップルだ。相手をそのままの姿で受け入れ、自分をとりつくろわずに正直な姿で付き合っている。

ようやくムスコが落ち着いて、みんなで笑って、じゃあそろそろ出るね、とムスメと私は立ち上がった。

駐車場まで車を取りに行き、戻ってくると、ムスコとムスメとKatyaが荷物を用意してアパートの前で待っていた。車に積んで、ハグしてお別れ。

またねー。
楽しかったよぅ。
ありがとねー。

出発し、曲がる角で止まっていると、Jasonが帰ってきた。

あれー、今までいたの?もっと早く出るって言ってなかった?
四人で、Episode 3を最後まで見ることにしたのー。

"Force your family to watch Star Wars with you" 

笑うJason。
またねー。元気でねー。と手を振って、私とムスメはボストンを後にした。













ただただ好きで書いています。書いてお金をもらうようになったら、純粋に好きで書くのとは違ってくるのでしょうか。