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逆噴射小説大賞2020参加作品

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#逆噴射小説大賞2020

超大型機動自律兵器スノー・ホワイト

超大型機動自律兵器スノー・ホワイト

昔々。
王国。城の最深部。
「ああそうさ、やったのは私だよ。馬鹿な娘だ、見知らぬ人の差し出す物によく手を出せたもんさ」
老婆は腕と壁を繋いだ鎖をがちゃつかせる。皺と老斑に覆われているものの、姿の変わる前の美貌はその顔に確かな痕跡としてとどまっている。
「無駄話はいい。聞かれたことに応えろ」
「何度も言ってるじゃないか。口づけしかないんだって」
尋問官の手には押収した林檎が握られている。二週間外に放

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Please Calm Down a Little

Please Calm Down a Little

空が斜めに裁断されていた。
端末であればそこで画面が破損しているかのように断ち切られていた。言い換えれば、そこから先は「語る」必要はない、というように「オチ」を付けられていた。
「綺麗にオチてねえなあ」
オチ。話の結末とか、クライマックス。読者がそれを境に物語から関心を失っていく特異点。
—世界を、それを認識する者にとっての物語、と捉えてみましょう。器官を通して得られる感覚情報を題材に、即興で書か

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Cursor Girl

Cursor Girl

詩州香ちゃんがまた郷田をコピペしている。
私の指はね。神様がくれた指なの。
初めそう聞いた時、彼女にしては随分安い台詞を言うな、と思ってしまった。その台詞が、生きていることの有難みを謳ったものではなく、他者をひれ伏させる圧倒的権能を誇ったものだということに気づかされたのは、付き合ってから一週間くらいのことだ。
「やめてくれやめてくれ、もう飛騨には手を出さないから」
詩洲香ちゃんの指は止まらない。そ

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Brave Buzzy World

Brave Buzzy World

広告が端末画面から溢れ出て、生命圏の八割がスパムの海に沈んでから、どれくらいの時が経ったのだろう。
「リセマラ不要!美少女と共に秋のインターンシップに参加してきたるイノベーションを全身脱毛!今だけ【特報】【特報】【特】ほほほほほほほほ#」
物思いに耽りながら放った銃弾は脳天を貫き、広告粒子(プロモ・グレイン)によって流し込まれたお得情報の地獄から住民を解放した。
「生存者は極力救助するはずでは」

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バ先はラグナロク

激しい戦闘になることは事前に報告されていたが、現地到着直後に顔の半分が吹き飛ばされるとは思わなかった。
「セドリック!」
俺はスーツに内蔵された相棒に助けを求める。
「早く!しろ!」
再生が進むにつれて消し飛んだ舌が戻ってきたみたいだった。
敵は前方二キロ先をこちらに向けて直進中。機体から伸びた砲身は、もう次弾を発射すべく小刻みに震え始めている。
<致命傷は避けましたが記憶の一部に欠損が見られるよ

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