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ブランド牛ってなに?

 僕は以前は関西、現在は地元岐阜でお肉屋さんで働いています。
関西に居たときは「神戸ビーフ(神戸牛)」をメインに販売をし、
今は地元岐阜の「飛騨牛」の販売をしています。
ここ数年で肉食の文化は広がりを見せ、
ブランド牛が良く認知されるようになってきました。
飛騨牛、神戸ビーフ、松坂牛、近江牛等沢山あります。

 さて、この「ブランド牛の違いは?」という質問を頂きます。
もの凄く平たく、簡単に言うと「みな同じ」だと思っています。
この表現には全国の生産者の皆さんの中には「それは違う!」という方もお見えになるかと思います。

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産まれたばかりの可愛い黒毛和牛 (飛騨萩原畜産様にて)

 まず、世間一般で言われる「和牛」というのは「黒毛和種」という畜種となります。
全身真っ黒でツノが生えていて体重は700㎏~900㎏くらい、大きいと1トンを超える大きさにまでなる牛さんです。
しかしながら実は「和牛」と呼ばれる畜種にはあと3種類います。
「日本短角種」「褐毛和種(あか牛)」「無角和種」
聞いたことはありますでしょうか?
知らないという人の方が多いかと思います。
その理由は、日本で育てられている和牛の90%以上が黒毛和種だからです。

 品種のお話はまた今度にしてブランド牛の違いに話は戻ります。
日本のブランド牛は基本的には「黒毛和種」です。
そして各都道府県(場合によっては生産者単体)によって定義を決めてブランド牛として販売をしています。
岐阜県の飛騨牛の場合だと以下の条件となります。

1.黒毛和種であること
2.岐阜県内の飛騨牛指定農家にて14か月以上肥育されていること
3.歩留等級AもしくはB、かつ、肉質等級3等級以上であること

この3つの条件を満たせば飛騨牛になります。
これには「出生地」は関係ありません。
北海道で産まれようが、沖縄で産まれようが、
黒毛和種の子牛を岐阜に連れてきて育てれば「岐阜県産飛騨牛」となるのです。
 そのため、僕は北海道や岩手県に子牛の仕入れに行くこともあります。
ブランド牛によっては地元で生まれた牛じゃないと認めないという場合や、
牛の血統に拘っているブランドもありますし、雌雄の指定をしているブランドもあります。
あとは餌の指定があるところだってある。

 しかしながら畜種は基本的に「黒毛和種」となりますので大きく見ると同じだと考えています。
実際にブランド牛を並べて食べ比べしても大きい違いには気づかないことが多いです。
そもそも工業製品ではないので”個体差”も有ります。
それほどまでに黒毛和種の肉質は良いですし、これは輸出の為に海外で営業活動して気づかされましたが、そもそも「なんで県が違うだけで違う名前のブランドになるんだ」と外国人の方に疑問を持たれます。
この質問に対して納得させるのは結構大変なんです。

スペインのホセ・ゴードン氏の牧場での写真 和牛との違いに驚きました


この同じ国なのに地域で分けるというのは島国の日本ならではなんじゃないかなと思います。
これも歴史・文化との関係性の面白さですね。

 随分長くなってしまいました。
次回はブランド牛を決定付ける「等級」の話をしようと思います。
ではではまた。

肉魔人よっち

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