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ちゃあまじゅんよ沖縄#03おばぁの島とうがらしでコーレーグースを作った

島とうがらしを泡盛に漬ける。2週間待つ。
それだけで自家製の「泡盛漬けとうがらし」の出来上がり。沖縄ではこれをコーレーグースと呼び、沖縄そばにかけると汁が少し辛くなり、豊かな香りと風味が増すスペシャル調味料。
ラーメン屋のテーブルでよく見掛けるラー油やこしょうと同じように、沖縄そばのお店などでは当たり前にある風景としてテーブルのセンターに鎮座しています。
西表島の民宿さわやか荘の隣家の前には無人野菜販売所があります。2018年7月、そこには真っ赤でぷっくりツヤツヤした、見るからに健康そうな島とうがらしがたくさん入ったビニール袋が値札も身に付けずに、ちょこんと1つ、まるでお持ち帰り待ちのように待機していました。他にはゴロンとした大きなカボチャ。
噂によると、かわいらしい小さな無人販売所は、その家に住んでいる100歳のおばぁが自分で作った野菜を並べているということでした。

100歳が作った野菜。

お持ち帰りしたいが、いかんせん無人なのに値札がないから右往左往。結果、勇気を出して軒先からおばぁを呼び出す事になったわけです。立派な島とうがらしを作った100歳と一言、二言の交流でしたが、今となっては素敵な体験、値札がなくて良かったなぁ。

2020年7月、無人販売所は連日野菜が並ぶことはなく、夕方になると無人販売所の近くの畑で畑仕事をしているおばぁを何回か見掛けました。その人が島とうがらしの100歳おばぁかは確認できず、声をかける勇気もなく、キョロキョロ、モゾモゾ、挙動不審のおかっぱ頭の私は、さぞかし怪しい旅行客だと思われたに違いありません。

自宅に持ち帰った島とうがらしは、石垣島に酒蔵がある請福酒造の「直火請福」に漬け込み、ガツンとした大人の辛みのコーレグースに見事な変身を遂げました。スープに、野菜炒めに、カレーに、焼きそばにチョロッと垂らすと、八重山のさわやかな風が目の前を通り抜けるのです。
そういえば今回、100歳のおばぁの島とうがらしの話を西表島の知人にしたところ、どうやらまだ100歳ではないらしいという新情報を入手していまいました。
おばぁが100歳だろうが無かろうが、おばぁの島とうがらしは宝石のように輝き、いつも我が家に沖縄の風を吹かせてくれているのです。

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