蚊にかまれ水脹れ、なんかおかしい病

熱が出たり、リンパ節が腫れたりして、なんかおかしい症状がずっと続いたと思ったら、
蚊に刺されたところが、水脹れになるという変な病気があります。
慢性活動性EBウイルス感染症という病気を紹介します。
ほとんどリンパ腫(白血球の腫瘍みたいなもの)で、致死率が高いです。

多彩な症状が見られ、目を凝らさないとわかりにくいです。
特殊な病気を取り上げて、人間を観察するとき、いかにくまなくみることが大事なのかを語ります。

EBウイルスというウイルスがあります。
伝染性単核球症といって、風邪のような症状で発症する病気があり、結構なった人もいるのではないでしょうか。発熱、リンパ節の腫れ(主に頚部)、肝臓と脾臓の腫大が特徴的です。口の中に白苔と言って、白いべったりしたものがつくこともあります。(他の病気、溶連菌感染症との区別が難しいです)

普通は速やかに症状が治りますが、これが3ヶ月以上とか続くと、おかしいと思わねばなりません。

随伴症状は、蚊に刺された時に水脹れができるほどになること、水疱(重症型種痘様水疱症)、口腔内の潰瘍みたいなもの(口腔内アフタ)、消化管の潰瘍、脳梗塞(?!)、心筋梗塞(?!)、血管炎、神経障害、こんなにあります。

また、経過中に、血球貪食症候群になったりします。(白血球や赤血球、血小板などが下がり、多臓器不全になったりします。)T/NK細胞(異常増殖する白血球のタイプ)リンパ腫になったりもします。

病気が、皮膚、脳、心臓にまで及ぶ病気です。
https://www.med.nagoya-u.ac.jp/virus/caebv/ebv.html

こういう病気は、臓器だけ見ているとわからないことが多いです。
そのために総合診療科という科があります

全部が症状として現れるわけではないので、気づくのは難しいですが、
いくつかの症状があったら、医者が反応できなければなりません。

でも、日常では、熱が出て、他に何にも症状がなさそう、と言った患者が圧倒的に多いので、
医師によっては、追及しないでほったらかすのが常習化している人も多いです。
(特徴として、体の診察をしないで、話だけで済ませる医者は要注意)

疑問を持てば、見える場合があります。疑問を持たなければ、見えるものも見えないことが多い。
「熱は全部風邪」と思っていると、貴重な何かが目の前を通り過ぎるのを見過ごすかもしれません。

情報をできるだけ集め、知識は幅広く持っておく必要があるのも、このような病気が存在するからです。

余談ですが、僕は一人の患者さんに1時間とか診察やディスカッションの時間があってもいいと思います。(全く儲けにならないですが)