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hajimesak
2021年5月11日 13:20
■第十三場 それからニ時間後の粟田家。 基本セット。居間のテーブルの椅子にぐったりと座る絹代。独り言。絹代 「どこのお店にも入れなかった。‥今日の晩御飯、どうしよう? ‥これから、どうしよう。」 頭を抱える絹代。 粟田家の玄関前に山口が現れる。周りに人がいないのを確かめ、陀頼教のマークを、真っ赤なスプレー塗料で「×」字に塗りつぶす。すばやく逃走。 それから間もなく唐玄が目に眼帯をして入
2021年5月6日 12:33
■第十二場 前場の翌日午前11時。琴吹町の隣町にあるホームセンター。レジにとても長い行列ができていている。列がなかなか進まず、みなイライラ顔。店員の小川と石田は行列にあっけにとられている。小川の近くに、店員専用の電話機がある。石田の背後に、客の高橋が腰をかがめながら特価品コーナーの値段を見定めている。 ホームセンターの隣は、佐藤夫妻が構える小さなコンビニ。夫婦で店に立っている。暇そうな顔。客は
2021年4月29日 09:46
■第十一場 テレビ放送の音。それを聞く人たち。 佐藤夫妻は、上手袖近くに立つ。同様に下手袖近くに手塚と小笹。下手中央寄りに衣川。上手中央寄りに富田夫妻。テレビを見ていた人は後方。キャスター 「今大変世間を騒がせております、琴吹町の連続通り魔事件、その容疑者ではないか、と思われる人物につきまして、当局が独占入手した情報をお送りします。被害者のMさんが、犯人を見たと。しかもそれは、近くに住むTと
2021年4月22日 09:31
■第十場 その翌日の土曜日。午前11時。基本セット。外は曇り空で無風。蒸されているような不快な空気。上手奥には自動車が止まっており、車内に大杉、鈴木、木村がいて、唐玄を監視している。 唐玄が玄関から出て、玄関扉の汚れを布でふきはじめる。監視員は、唐玄の登場に色めき立つ。木村はスマホで写真をとり、鈴木は大学ノートに唐玄の行動記録を書き込んでいる。唐玄はその様子をちらりと見る。慌てて視線をそらす監