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【読書記録】見えないボクと盲導犬アンジーの目もあてられない日々

おすすめ度 ★★★☆☆

視覚障害のある男性と盲導犬の日常を描いたコミックエッセイ。
半分マンガ、半分はエッセイになっていて、ほんわかした絵柄なのでとても読みやすい。中一息子も読んでいた。

普段、視覚障害や盲導犬のことを知る機会はないので、こういう気軽な方法で認知度アップできるの良いよね。

著者は、盲目のアーティストとしても活動している栗山龍太さん。
ホームページ見たら、イラストとソックリで驚いた。

基本的には、「居酒屋に行こうとしてもアンジーが帰りたがっていけない」とか「アンジーだと思って頭を撫でてたら獣医師さんだった」とか、笑えるネタが中心になっている。
それはそれで、なるほどこういう日常なのか、と興味深く読める。


ただ楽しいだけではなく、盲導犬の入店拒否問題や、障害受容の難しさ、盲導犬ができることできないことなども描いてある。

一つのエピソードを紹介すると…
電車に白杖を持った男性がいて、赤ちゃんが泣き喚いていたところ
「うるせえな!駅のアナウンスが聞こえないだろうよ!!黙らせろよ!」「俺は目が見えないんだよ!!」
とキレるシーンを目撃した。(栗山さんではなく作画担当のエイイチさんが)

一見すると、「それは流石に目が見えなくてもダメだろう」と思うところだが、著者は
「全く同感です。ただ、その人の『障害受容』も考えたほうがいいかもしれません」という。

障害受容とは、当事者が自分の障害を受け入れることで、この場合は失明したことを受け入れる期間をいう。

僕は11歳で失明したので、今の状況が当たり前で、赤ちゃんの泣き声で怒ったりしませんが。もしエイイチさんが明日事故で失明したらそこまでの余裕を持てますか?

障害と一口に言っても、状況は一人一人違うのだとハッとさせられる。
じゃあどうやって解決するんだ、といえば簡単な解決策はないけれど、まずはそういう状況を知り、話し合えることが大事だという著者の言葉が刺さった。

障害に関する本は結構たくさん読んでいるが、読むほどに知らないことばかりだし、知ることで視点が広がる。
障害者も一人一人違う、人間であり、日常がある。こんな当たり前のことすら、知らないと知らないままでいられる。そして思い込みという名の差別をしてしまうかもしれない。

差別なんて決してしない、誰も置き去りにしない、なんてとても言えないけど、少しでも視点をニュートラルにしていきたい。

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