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【読んだ】もがいて、もがいて、古生物学者!
おすすめ度 ★★★☆☆
化石ハンターになりたい娘に
年末に沖縄のガンガラーの谷に行ったときに、人間の化石の話を聞いた。
ガイドのお姉さんの説明がすごく上手で、娘は目をキラキラさせながら聞いていた。
そして帰り道「わたし、大きくなったら化石ハンターになりたい!」と宣言した。
それからしばらくアイス屋さんか化石ハンターかで迷っている。あと漫画家と先生にもなりたいらしい。結構なことだ。
古生物学者を目指す人のための本
表紙だけ見て「漫画なら娘でもいけるかな」と思ったのだが、中身はガッツリ文字だった。
読み仮名もなし、小学校高学年〜高校生向けかな。7歳の娘にはとても読めない。
だけど、本気で古生物学者になりたい子どものために超具体的な内容がしっかり書いてある。
「ジュラシック・パーク」をみて恐竜博士になりたいと夢見た小学生の頃から、数学が苦手だけど夢のために必死で勉強して大学受験するまで。
大学での生活と、論文の種類や研究テーマの決め方。
さらには大学院留学後の壮絶な忙しさ、将来の選択肢の少なさ…
経験者じゃなければ語れない具体的な過程が細かく書かれている。
本気になれるものがあるって羨ましい
正直なところ、化石にも恐竜にもほとんど興味がない私にはちんぷんかんぷんなものも多かった。
げっ歯類の小さい歯の化石をクリーニングする過程など、「どういう人がこれを楽しんで読むんだろう…」というほどマニアックだ。
でも著者の情熱の強さには終始圧倒される。
タイトルにもある通り、本当にこの人ずっともがいている。
恐竜博士になるのは簡単じゃない。
まず古生物専門の研究室がとても少ない。
当時の著者には早稲田か東大のどちらかしか選択肢がなかった。(数学が苦手なのに!)
授業やフィールドワークも過酷で、女性も少ない。
さらに古生物の研究者として食べていくにも、いくつものハードルがある。
研究者を目指す仲間においていかれないように、必死で勉強して研究して、それでもわかりやすい就職先は少なく、将来も不透明だ。
研究職につくには、二十代の殆どの時間を研究と勉強に費やさなくてはいけない。多くの人にとって二十代は、若さに満ち溢れ、さらに自分で稼いだお金を比較的自由に使うことができる人生のうちでも貴重な時間だろう。(中略)
でも古生物学者を目指すのなら、それらはすべて「別の世界のお話」と考えたほうがいい。
彼女は、ハーバード大学、ユタ大学と留学中にもフィールドを変えながら研究を続け、スミソニアン博物館でポスドク職につく。
決して順調な道ではなく、研究以外にも異国での生活や、他の研究者との競争に苦労して、この道で本当にいいのか悩んだり落ち込んだり。
それでももがいて、もがいて。
最終的に現在は日本で国立科学博物館の研究員になっている。
カッコいい!
でも絶対、私には無理。
もし子どもが目指したいと言っても穏やかに見守れるだろうか、と考え込んでしまうほど大変だ。
ここまで好きなものがあるって、どういう感じなんだろう?
読んで理解はできても、共感はできない。
そんな気持ちになったことがない。
羨ましいし、憧れるけど、自分にはできないだろうとも思う。
リスクばかりを考えてしまう。
おとなになったのかなと思うけど、多分子どもの頃でも無理だ。
夢を見る人すべてが報われるわけじゃないけど
これだけ頑張って夢を掴んだ人の話を読むと、「努力すれば必ず夢が叶うわけじゃない」と斜めからツッコミを入れたくなる。
だけど、それを言ったら頑張らない言い訳をしているようで、かっこ悪いから言わない。
努力しても叶うわけじゃないから最初から努力しませんなんて、最低だ。
「俺はまだ本気出してないだけ」に並ぶカッコ悪さだ。
私は、多分そこまでの情熱も持てないし努力もできない。
だけど夢を見て努力する人を否定するようなことは言いたくない。
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