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【読書記録】鍵のない夢を見る

おすすめ度 ★★☆☆☆

かがみの孤城」が面白かったので、図書館でタイトルだけ見て借りてみた。
ドスンと暗くて、驚いた。歪んだ女性と暗い事件を書いた5つの短編集で、まさに鍵がない、出口がないようなくらぁーい作品。
読後もめちゃくちゃモヤモヤする。それでも最後まで読ませるのは辻村さんの技量なんだろう。

モテないと思われたくない女、DV男に翻弄される女、どうしようもない夢を追う男に惚れてしまう女、などなど、暗すぎて胸焼けするようなシチュエーションのオンパレードだ。いやもうしんどいしか残らない、読んでいてこういう女嫌いだわ〜ってイライラする。そういうのが好きな人って誰かわかんないけど、こじれた女が主人公の作品って多いから、一定数需要があるんだろうな。
「かがみの孤城」からファンタジーと希望を抜いて、20年くらいプラスしたらこうなっちゃうんだろうか?

最後の「君本家の誘拐」だけは同情してしまった。育児ノイローゼの女性の話なんだけど、子どもが愛しくて仕方ないのに、じりじりと追い詰められていく感じがリアルで、共感できるところが多い。10年以上前のことなのに、あの時の気持ちが思い出されてギュッとなる。
辻村さんの表現力が遺憾なく発揮されているので、当事者というよりは、育児しない夫側に読ませるといいんじゃないか。こんな気持ちだったのか、とハッとしてくれると思う。
残念ながら我が家はもうそのタイミングは終えてしまったので、今度は思春期の子供を育てる母親の葛藤を描いてほしいなぁ、辻村さん。などと都合の良いことを考えるのであった。

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