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【読書記録】かがみの孤城

おすすめ度 ★★★★☆

金曜ロードショーでやっていたので子どもたちと観たら、想像以上に面白かった。ファンタジー異世界系を小馬鹿にしがちな小6息子は、最初興味なさそうにしていたのに、最後は「うわああすげぇ…面白すぎる!」と興奮気味に語っていた。

もともと児童書ではなく、2018年の本屋大賞を受賞するほどの人気小説。辻村深月さんの作品で初めて児童書としてノベライズされた(挿絵と読み仮名つけた)作品らしい。
表紙の雰囲気から子ども向けのファンタジーと思いきや、中学生独特の心理描写、ミステリーのような伏線回収。子どもも大人も楽しめるハラハラ展開もあり、色んな方向から上手く出来てる小説だ。

面白かった、で終わるのもあれなのでもう少し分析。

鏡の向こうの世界とか、狼の仮面を被った謎の少女とか、ファンタジックな要素はある。けどライトノベルのような軽薄さがないのは辻村さんの確固とした文章力に支えられているからだ。
適度に嫌な奴もでてくるし、登場人物のキャラクターも立っているから、息子くらいの年齢に刺さるのも分かる。ダメな先生のダメ具合が絶妙に「いそう」な感じで良い。
いじめや不登校、性加害などの難しい問題もでてくる。登場人物が多いので、そこまで深堀りされていないけど、子どもに知ってもらうのにちょうどいいポイントが押さえられている。

書いていて、非の打ち所がなさすぎて驚いた。
小学校高学年〜中学生くらいの子の、長編小説デビューにこれ以上ないくらい良作だと思う。

斜め上から読むと、色々と都合がいいなぁと思う部分は確かにある。ファンタジー苦手な私には、ちょっとのめりこめない部分もあった。それは120%好みの問題であって、作品としての完成度は文句のつけようがない。

息子は昨日から読みはじめて、わぁわぁ感想を語っている。映画で端折られている話や、異なる設定も多いので、映画を見た後でもちゃんと楽しめる。
ネタバレしちゃうのでリアクションに困るけど、息子と本の話ができる良い機会ができて、とても嬉しい。

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