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【読書記録】99.9%は仮説

おすすめ度 ★★★★★

面白い考え方が盛りだくさんで、興奮しながら一気読みした。

科学エピソード満載で、しかもわかりやすい。示唆に富んでいるけど難しくないので、気軽に読める。


世の中は仮説、ただし自分だけは正しい

そもそも常識を仮説だと自覚している人は少ない。

本当に地球は丸いのか?
光より速いものはないのか? 

そんなことをいちいち疑っていたら疲れてしまうので、ある程度鵜呑みにして思いこむしかない。でもそれでいいのか。

ガリレオの例で言えば、名だたる教授たちは宇宙は完璧な世界だと思い込んでいるから、実際に望遠鏡で月のクレーターを目撃しても「望遠鏡がデタラメだ!」という結論を下してしまうわけです。
いまある枠組みに都合のいいように、事実の方が捻じ曲げられてしまいます。
でも、本人には意図的に事実を捻じ曲げたという意識はない。
自覚がないから、自分が特定の仮説に縛られていることにも気づかないのです。

うわ、ものすごく思い当たる。
SNSで終わりなく繰り広げられる論争。同じものを見ても180度変わる評価。自分の解釈に都合がいい「科学的根拠」「実績」「データ」の羅列。
よく見るぅ。

私だって、自分の主張をするときには都合のいい根拠をたくさん集めてくるし、信じたいものを信じるし、見たいものを見ているはずだ。

要は、それが客観的に100%正しい、と盲信しないことが大事なんだろう。

どうすれば気づけるか

「タブーに挑戦し、あらゆる仮説に触れてみよ。」
とにかくいろいろな仮説に直に触れてみることが大切だというのです。(中略)ファイヤアーベントは、あえてタブーに挑戦し、あらゆる仮説に触れることにより知的な免疫力をつけろ、というのです。

この本で一番刺さったところかも。
例えば、私は民主主義で資本主義の国で暮らしているけど、あえて専制国家や共産主義の思想を学んでみるとか、無宗教だけど、宗教について学んでみるとか。
すると、異なる仮説の元に成り立っている世界を理解できるかもしれない。顧みて自分の仮説に気づけるかもしれない。
「知的な免疫力」という表現もカッコよくて好き。使ってこう。

ロボトミー手術

知的障害の本で読んで「こっわ」と思っていたロボトミー手術についても書いてあった。知らない方はこちらの解説どうぞ。

今考えると異常な行為なのに、ノーベル賞を受賞している。

廃人になるという副作用があることはわかっていた。死亡率も4%ほどあった。しかし完全に無視されて、何万件もの手術が行われた。

「ロボトミー手術は画期的ですばらしい治療法だ」という常識が正しいと信じられていたから。

昔の人が愚かだったとかそういう話ではなく、その時代に正しいとされていたことが180度変わることはあり得る、ということだ。
今、エセ科学といわれていることも、正しい科学だといわれていることも、100年後にはどうなっているかわからない。

話が通じないのは、お互いの仮説がずれているから

話が通じないのは、お互いが当たり前の前提と考えている複数の仮説が食い違っているからかもしれません。(中略)
つまり、自分の仮説が相手に通じていないということです。また、相手の仮説を自分が理解していないということでもあるのです。
だとしたら、喧嘩になる前に今一度「この人は、どんな仮説の世界に生きているんだろう?」という具合に相手の心を読んでみればいいのです。

これも、思い当たる節はいくらでもある。
私も夫婦喧嘩が不毛になるのは大抵これが原因だ。お互いの前提が違うから、同じ土俵で話ができない。

お互いの寄って立つところの仮説に気づくことにより、相手の心づもりもそれなりに理解できようというものです。それが現実の世の中でしょう。

あぁ、おっしゃる通りです。相手の心を慮る、だいじ。

100%客観的になることはできないけれど、自分の頭の中も、相手の頭の中も、それぞれ仮説でできていると思うことが大事なんだと思う。

何かを盲信したり、逆に蔑んだり馬鹿にしたりしないこと。
ルールだから、常識だからって絶対に正しいとは限らないこと。
だからって、間違っているとも限らないこと。

本を読む時もこれを意識しておきたいなと思う。
なんか違うなぁと思うけど、それはそれで一つの主張ですね、ハイハイ的な。

悟りの境地みたいな話になってきたな。
できるかな。今度喧嘩するときに試してみよう(喧嘩する前提)。

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