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【読書記録】家族だから愛したんじゃなくて愛したのが家族だった

おすすめ度 ★★★★★

はーーー、岸田奈美さん、好き。あかん面白い。
以前「もうあかんわ日記」が面白すぎたので、ハードル上がってたんだけど、きっちりがっつり面白い。なのに愛があって、泣ける。

この本は、どんなタイミングで読んでも良いんじゃないかと思う。
ただ笑って癒やされたいときも、ちょっと気合い入れたいときも、なにか学びが欲しいときも、どんな気持ちで読んでも得るものがある。
癒やし・気合・学びという異色の三拍子が何故か揃う。


「もうあかんわ日記」より以前の、家族の物語。
各章が「弟とわたし」「母とわたし」「父とわたし」「日常とわたし」「仕事とわたし」「だれかとわたし」で分かれている。

家族への愛が詰まっていて、でも笑いにあふれていて、というよりマシンガン並の笑いの乱れうち。読みながらずっとニヤニヤして、時々吹き出しちゃう。なのに気づいたらホロっとしちゃう。

中学生で父を突然亡くして、高校生で母が大病によって一生車椅子になり、弟はダウン症。はたから見たら壮絶も壮絶な人生だ。著者紹介にも書いてある「一生に一度しか起こらないような出来事が、何故か何度も起きてしまう」がしっくりくる。
それでも、奈美さんめちゃくちゃ頑張ってる。涙出るくらい頑張ってる。
それが、トップスピードの笑いとともに語られてるけど、偉そうなビジネス書で読んだら、ものすごい苦労人。プロフェッショナル。仕事の流儀。

さらに「仕事とわたし」の章で、おどろいた。ミライロというユニバーサルデザインの会社の創業メンバーだった。代表の垣内さんの本、前に読んだわ。(読書感想書き忘れてたけど)

きっと、書き方によってはとてつもない人なのに、同じ目線で笑いを提供してくれるのもすごい。何一つ偉そうじゃない。落ち込んだり自意識過剰になったり、もうあかんってなったりを赤裸々に綴ってる。面白いの権化のような文章で。すごい。


あとがきもよい。
他人から嫌われたくないという想いと、多くの人に読まれるようになってから、その難しさを感じるというエピソードがジンときた。

誰からも嫌われず、だれをも幸せにできる、そんな岸田奈美になりたかった。
だけど、そんなのは無謀だったとすぐに気づいた。(中略)
ごく僅かだけど、深い悲しみと憤りが滲んだ感想のメールが届いて、心にとげみたいなものが刺さり、文章を書くことが怖くなったこともある。誰も悪くないし、ほとんどの人は温かく見守ってくれているし、気にしないでおこうと思えば思うほど、どうやってとげを抜けばいいかわからなくなった。

語彙力がなさすぎて情けないんだけど、あー岸田奈美さん好きだな〜と思う。すごい人なのに、こうやって等身大で悩んでもがいて。沢山の人が好きになって、助けたくなる気持ちがわかる。この後のエピソードも、とても素敵なので、ぜひ読んでみて欲しい。

どっちも図書館で借りたけど、買って紙で持っておこうかな。
最近そんな本が多くて、我が家の本棚はキャパオーバーしてるんだけど。

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