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なつめのお友達事情

4月に早朝散歩に切り替えてだいぶ経つが、未だなつめに新しいお友達はできない。
散歩のときよその犬と遭遇すると、「わあ!どんな子?気になる!」と言わんばかりに、ものすごい勢いで近づこうとする。
この子、柴犬じゃないのかしら。つかず離れずの適度な距離をとる「柴距離」という言葉があるのですけど。なつめは「柴距離?そんなもの知らないわ」という態度。
大体相手に吠えられることが多いので、向こうもこちらも飼い主が距離をとる。
「うちは大丈夫ですよ」のお言葉に甘えて、たまに近づくことができても、しつこく絡むので大体嫌がられる。

そんななつめの唯一のお友達は、早朝散歩に切り替える前に出会った柴犬のRくん。
ここしばらく会っていないのだけど、以前はよく会っていた。

Rくんは3歳で、なつめより少しお兄さん。なつめがぐいぐい近づいていっても、同じようにぐいぐい近づいてくる。ぶつかり合ったり、追いかけっこをしたりして、いっしょに遊んでくれる唯一のお友達。

飼い主さんも、きっと誰とでも気さくに接するんだろうなという朗らかな方。
この界隈では「柴犬と言えばRくん」が浸透しているようで、私がなつめを連れていると、通りすがりに「Rくん?」と聞かれたことも何回か。
いやいや全然似てないでしょ、と思うけれど、普段接していない人からすれば、柴犬は全部同じに見えるのだ。
その気持ち、よーく分かる。私も柴犬を飼い始めたころは見分けがつかなかった。今ならたとえ柴犬20匹の中であっても、なつめを見つけ出す自信がある。

さて、よその犬にぐいぐい迫っていこうとするなつめだけど、にぶいなあという場面が目立つことがしばしば。
散歩中、においを嗅ぐことに夢中になり、すぐそばを犬が通っているのに気づかない。犬もその飼い主もそして私も「こいつ、気がつかないんかい」という視線を向けるけど、自分の世界に入ってしまって一向に気づかない。
連れているものとしてはこっちのほうがいい。だって、犬に気づいて近寄ろうとするのを抑えるのも大変だし、それまでお利口に歩いていたのに、興奮してそのあとのペースもしばらく乱れてしまうから。
でも犬として、こんなににぶくて大丈夫なんだろうかと心配にもなる。

半年くらい前のこと。
横断歩道の手前でちょうど右に曲がろうとしたところで、正面遠くの方に、こちらに向かって歩いてくるRくんと飼い主さんが見えた。小さくしか見えないし、なつめはもちろん気づかない。
そのまま右に曲がって歩き進め、今日はRくんとはすれ違わないなと思った瞬間、後方から何か気配を感じる。
なんと、Rくんが飼い主さんと猛ダッシュで走って追いかけてくるではないか。
だけど車道をはさんだ向こう側の歩道で追いかけてくることもあって、ずんずん歩くにぶいなつめはまだ気づかない。
あまりにも気がつかないので、私がなつめに「Rくんだよ」と声をかけようとしたそのとき、Rくんがしびれを切らしたように「ワン!!」と吠えた。それでようやく気づいたなつめ。

次の横断歩道を渡り、ようやく会うことができた。
ひとしきり遊んだ後、Rくんと飼い主さんは元来た道を戻っていった。なつめに会うためだけにわざわざこっちに来てくれたのだ。
ありのままのなつめを好きでいてくれるお友達がいてうれしい。

最近、家を出るときはまだ薄暗い状態。だんだん外が明るくなるのが遅くなってきた。あと1ヶ月もすればさすがに涼しくなるだろう。そうなれば早朝散歩も終わり。
またRくんに会えるようになるかな。そのときは前のようにまた遊んでもらえるといいな。

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