志望大学の「成績」はどうなっている? 少子化・グローバル化…試練の大学を学ぼう
こんにちは。NIKKEIスタッフです。今回は中高生向けのオンライン講座「日経Jアカデミー」のイベントレポートです。5月中旬のイベントのテーマは「大学」。受験する学校としてではなく、大学そのものはこれからどうなるのか!? …を学びました。
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志望大学の偏差値はどうなっているのか。進路先を決めるためにも受験科目などが気になるところです。小学校、中学校、高校と進み、最高学府の学びの場であるはずの大学。ただ、大学はいま、逆風にさらされています。
学生の定員割れ、世界での大学ランキングでの順位低下、経営難……。大学の「成績」は低迷ぎみともいえるかもしれません。悩ましい宿題を抱える大学について、いつもと違う視点で学びました。
先生はa.schoolの岩田拓真さん。日本経済新聞の記者やデスクといっしょに選んだ大学に関連するニュースを使って理解を深めていきます。
「大学で何を学びたいですか?」
オンライン(Zoom)で参加した生徒に、岩田さんからまず質問。
食、薬、法律、宗教学……。参加してくれた生徒が次々と希望する分野やテーマを、チャットで答えてくれます。岩田さんが生徒とインタラクティブに進めていくのがJアカデミーの良さです。
生徒のみなさんに大学進学の入口となる、3つの選抜試験について説明します。
ではここで問題。「総合型、推薦型の入試で大学に進学する人は全体の何割?」
A:4割
B:5割
C:6割
Jアカデミーの参加者にアンケートをとったところ、もっとも多かった回答は「C:6割」。
ですが、正解は5割。AO入試などをよく耳にするようになり、生徒のみなさんも総合型、推薦型になじみを感じているかもしれません。
確かに私立大学に限ると6割程度。一般入試が中心だった国公立大学でも、約2割が総合型、学校推薦を採用するようになっています。この勢いが続けば回答が多かった、6割も目前かもしれません。
なぜ、こうした大学受験の変化が起きているのでしょうか?
受験生としての立場から考えるのも大切ですが、日経電子版のニュースから社会的な視点で背景を探っていきます。ここがJアカデミーらしさです。
「大学入試、偏差値時代終幕の足音 推薦・総合型が過半に」、「国公立大学入試、総合型・推薦型が22% 過去最多」などのニュースを使って、その背景を分かりやすく解説しました。
背景の一つは、先行きが見通しづらいVUCA(変動性、不確実性、確実性、曖昧性)といわれる時代になっていることです。学生や、大学を卒業して社会に出ていく人には偏差値だけでなく、思考力、問題や課題に対して問いを立てる力など多面的な能力が必要になってきています。
もちろん少子化も大きな流れです。受験のタイミングが早い総合型、推薦型で生徒を前倒しで囲い込みたいという大学側の狙いがあります。筆記試験で分からない能力をつかめるメリットもあります。コミュニケーション力や多様性がその例です。
この後、企業の人事担当者に聞いた「採用を増やしたい大学ランキング」を取り上げました。トップ10のうち、7校が首都圏以外の大学という特徴があるランキングです。上位の大学が選ばれた理由や、企業が今どういう人材を求めているのかを考えました。
さらに「世界大学ランキング、東京大学29位に上昇 英機関調査」の記事から、海外からみた日本の大学の姿もみてみました。研究力、グローバルに通用する競争力をどうすれば高められるか。定員割れ、赤字経営に直面する大学の実情を知り、「岩盤」などといわれる硬直的な規制や課題をかみ砕いて伝えていきます。
「10兆円大学ファンド、東北大学はなぜ選ばれた?」というニュースをヒントに、これから先の大学改革についても考えてもらいました。
授業の終盤にあったワークのひとつでは、「日本の大学を世界トップにするにはどうしたらいい?」を探求してもらいました。
海外キャンパス、人工知能(AI)オンリーの大学、言葉の壁をなくす、在学中に全員が起業できるよう支援する、世界トップ企業の経営者に任せる、などなど。独創的な意見が次々と投稿されました。
すべてをここで紹介しきれませんが、教材として授業で使った日経電子版の記事は約30本。
取材する記者もこれだけの記事を読みこなすのは一苦労ですが、先生の岩田さんが要点をしっかり教えてくれています。
多様な視点を学び、主体的に思考する。大学、そして企業が求める人材について考えるトレーニングとして、保護者としても意外な気づきもあります。
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中学生、高校生に、ニュースを通じて色々な視点を身につけてほしい、とうい狙いで開催しているJアカデミー。これまで株(株式)、培養肉、インフレなどをテーマにしてきました。
次回は「インバウンド」を予定しています。イベント開催に向けて、最新ニュースをまとめています。
インバウンドにより地域経済の活性化が期待されますが、オーバーツーリズムなど課題も目につくようになっています。足元で乱高下する為替、明暗が分かれる観光・レジャー産業など経済・ビジネス取材からも目が離せないテーマです。
開催は、7月下旬から8月上旬で検討中です。ちょうど夏休みの時期なので、自由研究などのテーマを探すきっかけにもなるかも。是非参加してください!
▼日経Jアカデミーについてはこちらのページもチェック!
※追記
日経Jアカデミー、「インバウンド」をテーマに取り上げるイベントは8月3日(土) 17:00~18:00の開催に決定しました。詳細は上記サイトからご確認ください。