AIニュースキャスターの好実エリカを紹介します(後編)
前回に続いて、日経イノベーションラボの中島さんにAIニュース開発秘話を伺います。
――好実エリカは誰が考えたのですか?
私です。といっても実際は、デザイナーさんがイメージぴったりのものを考えてくださいました。親しみやすくて、文句のつけようがありませんでしたね。
――年齢とか設定は?
30歳、20代後半かな。実は、アナウンサーは副業で、本業は別なんです。
ーーえ!そうだったんですか。本業が知りたいです。
本業は公認会計士なんですよ。ルックスはかわいらしくふわっとしていますが、中身はバリキャリです笑。というのも、私は研究者なんですが、一時期公認会計士をしていたこともあって、それを反映させました。
ーー物理研究からの公認会計士からのAI研究?すごい経歴ですね。
研究者はお金がないので公認会計士は稼ぐ手段ですね(笑)。その後、日経グループの「日経金融工学研究所」という会社に転職し、コンサルティングをやっていたのですが、そのときの上司に「これからはAIだよ」と言われ、AIの研究を始めて今に至るといった感じです。ちょうどAIが盛り上がってきたころだったので時期がよかったですね。
ーーいやー、エリカも中島さんも多才すぎます。エリカは日本語が上手ですが、苦労された点はありますか?
実は、英語のほうが上手なんですけどね(笑)。完成まで時間はそんなにはかかっていないんです。構想から完成も半年程度、実際つくり始めてから2カ月程度で大体完成しました。
アルゴリズムの設計は私がやりましたが、(1)新聞用の書き言葉を自然言語処理、ディープラーニング技術で話し言葉に書き換えていること(2)新聞の長い記事を200字程度に要約(3)カッコガキや音読み、訓読みなどの読み方にも対応しています。
ーー運用は次世代日経チームでやっているのですが、中島さんのおかげで、本当に作業が簡単です。ニュースを選んでボタンを3つ押すだけで簡単にAIニュースになるのには驚きました。しかも、たった一人のプロジェクトだったんですよね。
ありがとうございます。はい、いろいろな会社の方に手伝っていただいていますけど、アルゴリズム設計や総合的なコンセプトプロデュースは一人でやりました。
――日本在住5年くらいは経っているかな?と思う日本語スキルのイメージですが、これからさらに人間っぽくなるのでしょうか。
海外では、AIのキャラクターのみかけも中身も人間らしさを追求しているところもありますが、今回のプロジェクトの目的は人間らしさが一番の目的ではありません。まだ、実現していませんが、「ニュースを自動でパーソナライズする」ことを目標としています。
とはいっても、エリカは声にもこだわっています。実在の人間の声そのままではなく、音声合成技術を使っているんですよ。人間と間違うとまではいかないと思いますが、十分に聞き取れるクオリティーは担保しているつもりです。今は一定の感情に設定していますが、感情のレベルや「ハッピー」「怒り」などモードも変えることができます。
ーーなるほど。技術偏重にならず、人々の生活を豊かにする技術の使い方を目指しているわけですね。中島さんが生み出したエリカさん、ますます我々次世代チームの中で活躍していってもらいたいと思います。どうもありがとうございました。
みなさん、いかがでしたか?AIがニュースを要約して読んでくれるなんて10年前では考えられなかったですよね。
秘密に包まれていたエリカのことも少し明らかにしてみました。「ツイッター音出してみないよ」という方も、一度聞いてもらえると嬉しいです!!
始まって数週間なので、知名度もまだまだですが、皆さまの応援が何よりもの励みになります。よろしくお願いいたします!!
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