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【4/18】原人と現代人

▼アンデシュ・ハンセン氏の著書「スマホ脳」ではデジタル社会に人間は適応していないということを説いている。人間の脳内はまだまだサバンナの真っ只中でサバイバルに対応出来る様に作られているらしく、ここまで急速に発達したデジタル、普及し続けたスマホに対して順応できずにいて、サバンナでは役に立った危機感や反応がスマホによって過剰供給されストレスになっていると言う。

▼1931年(昭和6年)の今日は直良信夫氏が骨を発見した。のちに人類学者長谷部言人博士がそれを「明石原人」と命名する。日本にも原人がいたという考古学的大発見である。彼らはまだまだ原始的ではあるが猿人よりもずっと進化しており、道具や火を使う様になっていた。

▼ハンセン氏曰く20万年前、原人よりはずっと後に登場するホモ・サピエンスから人間の脳というのはほとんど変化がなく、その頃から培われてきた脳構造がここ100年余りで急激に技術的発展を成し遂げた今に追いつけないでいるのは無理も無い。脳からすると今の方が異常であり、飢餓や伝染病、猛獣から身を守るということの方が得意な情報処理なのである。

▼とはいうもののこの技術や文明をかなぐり捨ててサバンナで誰にも頼らず生き抜くというのは考えただけで無理だとわかるし、捨て去る考えもない。しかしながらスマホを通して見るSNSには劣等感や生きてゆく上での満足感を欠如させる効果があると言う。新しいものを発見することがサバイバル上有利だった時代の名残で、それが過剰で際限ない今に疲れた結果である。

▼デジタル疲れと言う言葉を耳にする様になり、デジタルデトックスと言う行動に出る人もいる。加熱気味なSNSの情報戦争と向き合うべき時にはすでに差し掛かっている。スマホの向こうには自分よりも優れている様な人、羨ましい人が目白押しなのである。「あんまり誰かを崇拝したら、ほんとの自由は、得られないんだぜ。本当さ。ぼく、知ってんだ。」ムーミンに登場するスナフキンの言葉通り、一度そのスマホという崇拝を置いて過ごすことも大切。現実の世界もサバンナぐらい危険だが美しいところもあるのだから。


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