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今、長崎県行政は新型コロナ感染症対策より、 そんなにカジノを含むIR誘致が大切ですか?

★実践には役立たない小手先の知識を教える講演会

長崎県障害福祉課から、令和3年度長崎県ギャンブル等依存症講演会開催の案内が届いた。
開催日時は令和3年5月15日(土曜)13:00~15:00だ。会場は県庁の大会議室を始め、WEB開催のため県下各保健所となっている。その会の運営にあたって、精神科医(医師)が3名かかわっている。うち2名はギャンブル依存症どころか、依存症に対する臨床経験は皆無といっていい。私は彼らの臨床能力を批判するつもりはない。他の分野では力を発揮いただいてるのも存じ上げている。一番の問題は開催日時、曜日、そして、この3名の精神科医(医師)、さらに全てのWEB会場が埋まれば200~300名の精神科医療関係者が、令和3年5月15日(土曜)13:00~15:00に・・・、わかるかな。それもギャンブル依存症だけに特化した小手先の知識を教える講演会だ。これでは、カジノを含むIR誘致のためだけの依存症対策、中身はどうでもいい、とにかく帳面消しを行いましたが見え見えだ。

★新型コロナ感染症対策の見えてきた光

光、そう、国内でもワクチン接種が始まった。幸い私の病院は、3月からワクチンが配布され、既に職員向けのワクチンはすすめている。しかし、県内医療従事者が接種を終えるのは5月以後にずれ込みそうだ。ただ加えて、担当大臣は5月に入ったら大量のワクチンを入荷できると明言。高齢者向けのワクチン接種も加速しそうだ。だが、各マスコミは「・・・接種が本格化すれば、人手を確保できない可能性が高い」(日本經濟新聞・2021年4月14日付)と報じている。人手とは、日本ではワクチン接種が行えるのは診療科関係なく医師と、医師の管理の下での看護師のみに限られている(歯科医師もダメらしい)。となると、ワクチンは入っても、確かに人手が足りない。先の広報されてる講演会、日常の診療に支障のない5月15日(土曜日)午後、そして多くの保健所の会議室が使用されることになっている。それも医療従事者に多数参加を呼び掛けている。それより今、どこの保健所もその地域の高齢者へのワクチン接種体制の強化を図る時期だ。とくに、精神科医、精神科医療従事者は感染症治療現場での役割はほとんど期待できない。だったらワクチン接種の現場要員が一番いい。それも日頃の診療業務に支障をきたさない週末の対応は容易だ。それもワクチン接種体制の視野に入れていいかと思う。とにかく今、県の公衆衛生業務は新型コロナウイルス感染症対策に集中すべし、それも高齢者へのワクチン接種最優先!

★包括的な依存症対策は、自殺対策と抱き合わせで行うのがいい・・・
それができれば、わざわざカジノを含むIR誘致のためのギャンブル依存症対策はいらない

ワクチン接種が進みコロナが収束した後は経済と生活の立て直しが急務となるが、それが一段落したタイミングで、それまで息抜きとして時々やっていたギャンブルやアルコールなどにのめり込んでしまう。水害とか震災と違い、今回の新型コロナウイルス感染症による社会的ダメージ、社会の立て直しにあたって建設特需などはないし、世界全体が疲弊しているため外需にも期待が持てない。自殺、依存症問題は比較的早く顕在化するだろう。コロナ後を見据えた包括的な自殺、依存症対策の重要性だ。
“大村ボート 売り上げ日本一 「巣ごもり需要」影響 電話・ネット投票増”と長崎新聞(2021年4月15日付)が報じている。このことに関しては、2021年3月8日のブログ〈『IR問われる県の力量』より、まず『県は無力を認めること』では?〉で、ギャンブル依存症者の再燃、増加の兆しにもなると、すでに取り上げている。ただ、公営ギャンブルの使命としてもちろんのことだが、掲載記事の末尾にその収益の活用について「・・・貢献活動にもしっかり取り組みたい」と大村市競艇企画局長が述べている。その実績については、石原信雄(元内閣官房副長官)の「私の履歴書」を引用し、2020年12月15日ブログ〈依存症対策は予防、早期治療より、 まずは「習うより慣れろ」から〉で紹介している。どうだろう、そんなに売り上げを伸ばしており、それも来年70年の節目を迎える大村ボート(大村市)だ。ここで県当局は大村市と協議し、その利益の一部を活用して「依存症(のめり込み)基金」なるものを設立してみたら・・・。そして、カジノを含むIRが開業された暁には、その基金にカジノ(IR)も参入するといい。ただ、その基金は教科書的な知識しか持ち合わせていない大学病院精神科と県の支援センター等のギャンブル一つだけを切り取った小手先の調査、パッケージ化した相談業務に流用せず、支援現場で現状をよく知る当事者、医療関係者に運営を任せてほしい。これを「長崎モデル」とすれば、もうカジノを含むIR誘致のためのギャンブル依存症等対策などいらない。後は、九州の経済界が一体となって、カジノを含むIR誘致に専念すればいいだけだ。

★利他的と利己的

ワクチン接種は私の安心、あなたも安心、接種できない人には集団免疫で・・・と、これが利他的。県行政の5月15日の講演会の企画、「今じゃないだろう!」・・・と、これは利己的。

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