見出し画像

新酒ノベッロとボジョレーと。 アンティパスト2皿目

10月をすぎるとこころなしかワクワクしてくる。ほんのり年末年始の雰囲気が町に広がっているのを感じれるのと、この時期のお楽しみ、新酒が沢山やってくるからだ。

日本でのお馴染みフランスの新酒ボージョレー・ヌーヴォーは11月の第3週の木曜日、対してイタリアの新酒は10月30日。(私が働いている頃は11月6日だった)店では9月頃から新酒に合いそうなメニューの試食の機会が増えてくる。飲食店で働いているメリットは「美味しい物が沢山食べれる」と1000%思っていた私は嬉々として試食に参加させてもらうのだ。用意するラインナップが決まり、担当していた黒板に彩りを添えてイタリアンの華やかな新酒の解禁日、酒屋から来た新酒のラベルを見ながらどんな味かイメージし、実際に試飲。自分の味覚をフル回転させて料理との相性をすり合わせていく。

午後6時を回り早々に予約して頂いた方々を出迎えオススメの新酒をいつもより少し軽快に栓を抜いていく。あのキュポンと言う音はいつ聞いても心が躍る。相性の特に合いそうな物、お好みを聞いてフレッシュな赤を注ぎ込んでいく。 騒がしくなっていく店内、慌ただしくなる厨房、20時を回る頃にはいつもの常連さまを送り出し、またもう一踏ん張りと店内を駆け回る。いつだってこの時期は忙しかった。あの忙しさが当たり前だと思っていた。 

閉店間際の店内のバーカウンターはピンクに染まったグラスがずらりと並ぶ。新酒はグラスに色がつきやすい。今から洗うのが大変なのは分かっているけれど、達成感でにんまりする。 仕事上がり前に自分用にキープしておいた新酒を買って幸せな疲労感で自宅に帰りまた祝う。飲みながらまた次の日のあれこれを考えながらそうこうしている内にボジョレーヌーボーの解禁日だ。

私が働いていた頃はボージョレーヌーヴォーの栓を抜きながらノベッロの栓も一緒に抜いていた。解禁日が近かった事もあるし、店長が調子こいて追加でノベッロを沢山仕入れたり。みんな楽しく必死になって働いた。 大きなセラーから新酒を見かけなる頃に、年末年始の一代イベント、緊張と怒涛のクリスマスがやってくる。 

アンティパスト2皿目。新酒に合うブルスケッタやハム、チーズの盛り合わせと共に。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?