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本当の優しさ

 昨今使われている優しいや甘いという言葉。
女性の集まりで旦那さんや彼のことを「優しそうな人!」と言いますが、それはそんなに誉め言葉でもなさそうです。当たり障りのない、特徴のない印象の時使うことが多いと聞きました。

子育てでは、優しいお母さん=叱らない、なんでも子供の言いなり。甘やかしているとの混同もありそうです。

会社でも注意しない上司や、相談しても「それでいいと思う」となんでも賛成するのがいい先輩、やさしい上司のように思う人がいます。

私の知り合いにもおこらない、叱らない、注意しない、と三拍子そろった?
新人には優しいと慕われる人がいます。本人に聞くと、「面倒なことになるのが嫌だから適当に答えている」と聞いて驚いたことがあります。また皆に嫌われるのも…。

アドバイスや忠告する先輩を「うるさい人」とひとまとめにしてしまう。
家庭でも叱らない子育てがいいとされていた時期がありました。

「ゆとり教育」と言う言葉を若者は嫌います。しかし自由に自分の考えで行動するという根底にはしっかりした考えや知識も必要です。

優しい=甘いではないと思いますがなかなか理解するのは難しいようです。

本当の優しさって何でしょう。よく厳しくいさめる不動明王は人々を悪の道から仏道に導く、救済する役目を担って恐ろしい顔をしているといいます。言ってももなかなか忠告をして聞かない子供には鬼の形相で叱るしかないのかもしれません。

本当は迷いの世界から煩悩を断ち切るように導いてくれる慈悲深い神様です。本当のやさしさは厳しいものでもあるようです。

「あの時厳しく指導してくださったから今があります」と耳にすることがあります。

本当の優しさは後になってからでしかわからないことかもしれませんが、厳しくする方もエネルギーが要ります。それだけ思って言ってくれているのだとわかればその人にとってもプラスになることは多そうです。

もちろんパワハラ、セクハラとなる指導や言動は論外ですが…。そこには愛情が無いのですから!

叱ってくれる近所のおじさんやおばさんもいなくなりました。よその子供を叱るのにも勇気がいります。他人が口出しするのを嫌う親もいます。

昭和の風景の中には小学校の近く、おうちの一角をお店にした文房具屋さんがありました。おじちゃんは「消しゴム1つ200万両!」って自分で言って自分でうけていました。それを聞くのを楽しみにする子供たちもいてなんだかおもしろい場所でした。

駄菓子屋のおばあちゃんはいろんな子供の名前を憶えていてくれて、たまに駄菓子をくすめようとするわんぱく小僧をこっぴどく叱ってくれました。
 
我慢するとか必死と言う言葉も敬遠されますが、それから逃げる優しさや甘さはますます味気のない薄っぺらい人間関係を作りそうですがいかがでしょうか?


今でもそんな怖かったけれど目はいつも笑っているおじさんやおばあさんの事、よーく覚えています。その顔見たさに家から離れているのに買いに行ったこともあったような気がします。

曇りの朝になりました。船の汽笛はいつもより二回多い三回。ボーボーボー。きっとモヤがかかっているのでしょう。山は流れのはやい雲を抱きかかえることが出来ず静かです。

今日もいい日にしましょう!



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